FAQ よくある質問
Q. キャプティブのメリットを享受できるのはどのくらいの規模の会社ですか
A.
対象となるリスクや保険金の支払限度額によって異なりますが、現在の年間支払保険料が数千万円を超える場合は、キャプティブのメリットを享受できる可能性があります。
これまで、「いつ保険事故があるかわらないし、保険料が高いから」といった理由で保険を掛けてこなかった場合でも、内外価格差のメリットを享受できる可能性が高いことから、再考の余地が十分あると考えられます。
Q. キャプティブを設立することにより得られる補償には上限はあるのですか
A. 保険会社にはリスクを引受けられる保険引受力(キャパシティ)の上限があるため、国内の保険会社に限らず、海外の保険市場においても手配できる補償には上限があります。しかし、海外の保険市場のキャパシティは国内よりも規模が遙かに大きいことから、国内の元受保険会社がキャプティブを通じて海外の保険市場から得られるキャパシティを再保険として活用することにより、国内で通常得られる補償よりも遙かに高額の補償を確保することが可能となります。
Q. キャプティブの決算手続きはどのように行われるのですか
A. キャプティブは、海外に設立する保険会社であるため、所在国・地域の法令に基づく保険会社としての決算手続きを行なう必要があります。キャプティブは、その運営管理の業務を委託する現地のキャプティブ運営管理会社と、現地の税務・会計および監査を行なう会計事務所を利用して決算業務を行ないます。グローバル・リンクではキャプティブ運営管理会社と緊密に連携してサポートします。
Q. キャプティブの設立地に対して法人税を支払う必要はありますか
A. キャプティブ所在国・地域の法人として、税制で定められた法人税等を支払う必要があります。ただし、税率は、国や地域によって大きく異なり、キャプティブのような小規模損害保険会社に対する税制優遇制度がある場合もあります。なお、日本の「外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)」により、キャプティブを所有する親会社には、現地におけるキャプティブの租税負担割合によって、合算課税が適用される場合があることに留意が必要です。
Q. キャプティブの財務収支のあらましを教えてください
A. 日本の元受保険会社からの再保険料収入とキャプティブの投資収益の合計から、海外の再保険会社に支払うキャプティブからの再保険料(元受保険会社からみると再々保険料)とキャプティブ運営管理費用の合計を控除した差額が利益(税引前)となります。親会社は、キャプティブ所在国・地域の監督当局の許可を受けて、キャプティブに蓄積された剰余金を配当として受取ることができます。
Q. キャプティブは米国ハワイ州以外でも設立できますか
A. キャプティブは、米国ハワイ州以外の国や地域に設立することも可能です。キャプティブの保険会社としての機能を長期にわたり安定して果たすためには、キャプティブを積極支援する法制度やキャプティブ運営のサービスプロバイダー、金融機関のインフラ等が整った国・地域に設立することが重要であると考えます。この点において、ハワイ州では、行政機関が日本企業のキャプティブを積極的に受け入れる態勢を整えており、現地のサービスプロバイダーや金融機関から日本語によるサービス提供が受けられるなど、日本企業によるキャプティブの設立地としては最適です。
Q. 再々保険会社への保険料の支払いはどのような流れになりますか
A.
保険料(元受保険料)は、まずキャプティブの親会社となる企業が国内の保険会社(元受保険会社)に支払い、次に元受保険会社からキャプティブに再保険料が支払われ、そしてキャプティブから海外の再保険会社に再々保険料が支払われます。
保険料は、支払期限までに支払う必要がありますが、グローバル・リンクでは、キャプティブへの再保険料および海外の再保険会社への再々保険料の着金が期限内に適切になされるよう、国内の保険会社や現地のサービスプロバイダー、再保険ブローカーと緊密に連携してサポートします。
Q. 保険金はどのような流れで支払われますか
A.
企業に損害が発生すると、まず国内の保険会社(元受保険会社)による事故受付や損害状況の確認、保険金額の提示を経て、企業に保険金が支払われます。
その後、元受保険会社より企業に支払われた保険金の回収の流れが始まり、元受保険会社からキャプティブに再保険金の支払請求がなされます。次に、キャプティブから海外の再保険会社に再々保険金が請求されます。
そして、海外の再保険会社から再々保険金がキャプティブに支払われ、キャプティブから元受保険会社に再保険金が支払われるという流れになります。
なお、元受保険会社とキャプティブの再保険契約書に「Cut Throughクローズ(条項)」(※)が付帯されている場合には、海外の再保険会社から直接元受保険会社に再保険金(元受保険会社からみると再々保険金)が支払われるケースがありますが、グローバル・リンクは、元受保険会社、キャプティブ、海外の再保険会社間における保険金支払プロセスをモニタリングし、迅速で円滑な支払に向けてキャプティブおよび親会社をサポートします。
※「Cut Throughクローズ(条項)」とは、「企業に損害が発生して保険金の支払が必要になった場合に、キャプティブの再保険契約先である海外の再保険会社に対して、元受保険会社が直接再々保険金の支払い請求をすることができる」と定めた条項のことです。
Q. リスクファイナンスとして取引銀行から融資を受けることを考えているので、保険は必要ないのではないですか
A. 資金調達という機能面では、銀行融資と保険に違いはありません。しかし、大災害が発生した場合に従来と同じ条件で必要額を円滑に銀行から調達できるかどうかについては、慎重な検討が必要です。また、銀行からの借入は返済しなくてはなりませんが、保険金はその必要がないという点において大きく異なります。
Q. なぜ日本ではキャプティブ活用が浸透していないのですか
A.
日本では、旧財閥系の企業グループ毎にグループ内に大手損害保険会社が存在しており、グループ内企業にとっては、それらの損害保険会社が「自社専用保険会社、キャプティブとしての機能」を果たしてきたともいえます。
一方、欧米の保険市場においては、企業のリスクマネジメントへの関心が高いため、競争原理が強く働いており、このためキャプティブへの支援態勢が非常によく整った状況になっています。しかし、日本においては、企業のリスクマネジメントへの関心が欧米の企業ほど高くないこともあり、キャプティブに関する有用な情報が極めて少ない現状にあります。
さらに、「キャプティブの設立は節税のため」といった誤ったイメージが定着しており、キャプティブ本来のリスクマネジメント上のメリットが正しく伝えられていないため正確な理解がなされていないことも、キャプティブの設立が少ない要因と考えられています。
Q. どのようなリスクコントロールがキャプティブに適していますか
A. 例えば、強度の揺れや津波を誘発する巨大地震による大災害リスクや、サイバー空間で攻撃を受けて甚大な被害の発生が想定されるサイバーリスクなど、頻度は多くないと予測されるが、一度の事故や災害で巨額の損失が発生するリスク(低頻度・巨大損害リスク)に対するリスクコントロールに適しているといえます。
Q. キャプティブを設立するまでにどのくらいの期間を要しますか
A. 通常の場合、グローバル・リンクでは、キャプティブを設立するにあたっての事業化調査に約3ヶ月、キャプティブ設立手続に約3ヶ月、合計6ヶ月ほどで設立手続が完了します。
Q. キャプティブ設立に際して企業が自社で行なう手続きはどのようなものがありますか
A. グローバル・リンクとの契約締結(秘密保持契約、キャプティブの事業化調査に関わるコンサルティング業務委託契約、キャプティブの設立に関わるコンサルティング業務委託契約)、さらに、現地法律事務所との委任契約手続、法人設立手続、現地当局へのキャプティブ設立申請手続、資本金の払込等を行なう必要があります。グローバル・リンクは、現地サービスプロバイダーと緊密に連携して、企業のキャプティブ設立手続をサポートします。