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リスク対応策 2020.02.10

RM 8 オリンピックが教えるキャプティブ The Olympics teaches captives

For those who prefer to read this column in English, the Japanese text is followed by a British English translation, so please scroll down to the bottom of the Japanese text.

2020年夏の東京オリンピック開幕まで10ヶ月の時点で降って湧いた、「マラソンと競歩のコース」を暑さ対策で、東京から札幌に移すという国際オリンピック委員会(IOC)からの「提案」、「東京開催側」の抵抗も空しく「決定機関たるIOCの決定」ということで札幌に変更となった。

(上空より、どこまでも平地が続くロンドンを望む:左側にテムズ川、正面にシティの高層ビル群)

(From the sky, we can see the endlessly flat land of London, with the River Thames on the left and the skyscrapers of the City in front of it.)

1.ロンドン・マラソンの記録

このことで、15年前、2004年8月開催されたアテネ・オリンピックのマラソン競技のことを思い出す方も多いのではないだろうか、それほど「暑い、アテネ・オリンピック」であり、そのためもあり劇的な結果となった。英国が「金メダル確実」と考え、ゴール際の観客席には「金メダルのお祝いをする」ため、ブレア首相(当時)が陣取ったのが女子マラソンであった。

しかし、最初にゴール・テープを切ったのは150cmの小柄な日本人「野口みずき」であった。ギリシャ・オリンピアでおこなわれる東京オリンピックの聖火の採火式後、第1番目の走者は恒例によりギリシャ人となるが、続いて2番目の走者を務める。

その英国が全土を挙げて期待した星が、「ポーラ・ラドクリフ」、女子マラソンの当時の世界記録保持者であった。2002年の初マラソンで、いきなり当時世界歴代2位の2時間18分56秒を叩き出し、翌2003年、同じロンドン・マラソンで、2時間15分25秒の驚異的な世界最高記録を打ち立てた。しかし、アテネでは36km地点で、彼女は涙して棄権、ゴール・テープを切ることはなかった。誰しも、「ラドクリフ絶対有利」の観測。野口よりも6分も上回るベスト・タイムを持つ彼女が、なぜ、遅れ、そして棄権したのだろうか。

ロンドン・マラソンの開催は、毎年4月、ロンドンはまだ肌寒さを残している季節である。8月のアテネは、気温35度。過酷な気温、大理石を敷いた滑りやすい道。筆者が注目したのは「コースの高低」である。「道路をコースとするマラソンは、トラック競技と異なり平坦な場所を走ることは、本来稀な競技」である。ロンドンはテムズ川沿いに大きくなった街である。観光名所、大観覧車「ロンドン・アイ」に乗ると、どこまでも平坦な土地が続いているのがよく分かる。ほとんど高低差の無い街、ロンドン・マラソンのコースは「大きなトラック」のようなもの。パルテノン神殿が立つアクロポリス等、「神々の棲む丘」で有名なアテネのマラソン・コースは、強烈な高低差を感じさせる。

2.ほんの少しの上り坂

ジョギングの経験のある人なら誰でも知っていることであるが、ほんの少しでも上り坂にさしかかると、平坦な道と違い、途端に苦しくなり、格段にスピードが落ちる。大きな負荷がかかるからである。「ラドクリフ」の特徴は「積極的にレースを引っ張り、ライバル達を引き離して勝つ」ことであった。その独走を許す「平坦な道のり」がアテネにはなかった。

アテネ・オリンピックで、水泳平泳ぎ、100M、200M、いずれでも金メダルを取った北島康介には、「F1レース」同様に「チーム北島」が設立され、高度な分析機器を揃え、学者・研究者が「メカニック」となり、様々なデータを検証、競合環境及び自己分析をおこない、的確なトレーニング・メニュー、試合に臨む際の戦略を入念に練っていたことは、よく知られていることである。

ポーラ・ラドクリフも同様に、1人で闘っていたわけではない。世界記録を出したときも、男性のマラソン・ランナー2人が「ラビット」と呼ばれる「ペースメーカー」として彼女の前を走った。その「チーム」がコース、気温、競合相手等を徹底的に分析したはずである。しかし、その分析が導き出した結果を出すことはできなかった。そこに、「分析」では見過ごされた「ほんの少しの上り坂、その連続」という「リスク」があった。そして「暑さ」である。「引き離せるはずの場所なのに、何時までたっても引き離せない」、そのうち「大きな坂」になり、引き離されてしまった。その途端、「まさか」と意欲が萎えて棄権してしまったのではないだろうか。

「ほんの少しの上り坂」がマラソン選手に大きな影響を与えるのと同様、企業経営に於いても、この「ほんの少し」と思える「負荷」が知らず知らずのうちに大きな影響を与えていくものである。「大きな坂道」は誰しも用心する。しかし、「ほんの少しの上り坂」を見過ごす危険性は高い、見ても「このくらいは大丈夫」と過信するものである。「いままで大丈夫だったのだから、これも大丈夫」と考えないだろうか。確率論から言えば、むしろ「いままで大丈夫だったのであれば、そうならない可能性が高まった」と考えるべきにも関らず。

3.グローバル・リンクが考えるリスクマネジメント

「平場、平時でのみ培った戦略」は「ほんの少しの坂」でも躓くことが多い。結果、事業を中断、撤退、市場から消え去った企業が如何に多いことか、そうならないためのスキルが「リスクマネジメント」である。しかし、「リスクマネジメントは完璧なのだろうか」「果たして、リスクはマネジメント(管理・制御)できるのだろうか、何かを見過ごしてはいないのだろうか」、「平時に用意したリスクマネジメントの手法、マニュアル」で「緊急時、危機」に対応できるのだろうか、こう反省して「リスクマネジメント」に対して、新たな視点から様々な検証と対応をおこなう動きが現れてきた。

欧米の多国籍企業の場合、自国とは異なった様々な社会環境下で事業展開をしてきた歴史がある。そのため、早くから、企業戦略として「経営を脅かす不確実な要素を排除し、リスクをヘッジする」リスクマネジメントの手法が開発され、多くの企業で導入されていった。

リスクをヘッジする代表格は保険である。しかし、「保険にもリスク」がある。保険会社が「引き受けをしないリスク」と保険証券に記した「免責(保険金を支払わない事項)」がある。保険金額の限度もある。「保険の導入=リスクの完全なヘッジ」ではない。こうして、来のリスクマネジメントから、一段進化させたものがグローバル・リンクの主唱する「進化型のリスクマネジメント」である。

4.ソリューション・キャプティブ®

この「進化型のリスクマネジメント」の考え方から開発されたキャプティブが、ソリューション・キャプティブ®である。

「自社の専用保険会社である『キャプティブ』を所有する最大の意義は、『リスクマネジメントという高度かつ複雑な操作において、キャプティブを通じて、再保険市場へのチャネルを確保することができる』ことです。」(弊社法務顧問であった、志賀櫻弁護士の2007年12月28日付「最高裁への鑑定意見書」より)

このように大きな意義を持ち世界全体では7,000社以上存在するキャプティブだが、日本企業が所有するその数は僅か90社ほどとされている。要因は種々指摘されているが、キャプティブの最大の効用である「リスクマネジメントの視点」が欠落、「租税回避を主唱するキャプティブ組成の不適切な勧奨が横行している」ため、企業経営者の信頼感が得られないところにあったと考えられている。

グローバル・リンクでは、この本義に適うキャプティブを「企業の経営戦略に『解』(ソリューション)を与えるキャプティブ、『ソリューション・キャプティブ®』」として、その意義を明確にするため、2016年12月22日に商標登録した。

ソリューション・キャプティブ®は、「リスクが非常に巨大、また特殊過ぎて、補償が損害保険会社からは一般的には得られない、そのような補償の提供の可能性を有する、企業の経営戦略、リスクマネジメント態勢に大きな効用を与えるプログラム」である。千差万別のニーズを持った多くの顧客の要望を満たす保険会社ではなく、「自社のニーズのみに特化して補償を提供する自社専用保険会社」だからできるのである。

 

(ロンドン:ハイドパークよりシティを望む)

(London: View of the City from Hyde Park)

以下のような要望や課題を持つ企業にとってはソリューション・キャプティブ®は、重要な企業戦略として、企業収益の改善とリスクマネジメント態勢の進展に大きな効用があると考える。

5.ソリューション・キャプティブ®の効用

① 充分な「物的損害リスク」の補償額を持つだけでなく、欧米では一般的な「地震による企業収益の低下リスク」も補償する地震保険を掛けたい。
② 損害率は長年良好にも関わらず、損害保険料の負担が過大である。
③ 現在、自社が必要とする保険や補償が満足に得られていない。
④ 海外の現地法人や支店では満足な保険補償が得られていない。
⑤ 購入している保険の免責金額が大き過ぎる。

今回のまとめ

リスクマネジメントは欧米で発達した学問の分野である。したがって、どうしても「横文字」が多い。このことは「横文字を使えばそれらしく見えてしまう、聞こえてしまう」という弊害をもたらす側面も持っている。そのため、「本物の専門的なスキル」が無い会社にこのリスクマネジメントの指導を受けてその体制を構築すると将来に大きな課題を残すことになる。グローバル・リンクでは、何社ものそういう会社からご相談を受け、「適格なリスクマネジメント体制」を構築してきた。

この「ソリューション・キャプティブ®」を設立、活用して、リスクに真正面から向き合い、そのリスクをかえって収益化する(Turning Risk to Profit®)企業戦略、このキャプティブ設立のメリットを最大化することを実現して、企業業績の更なる拡大を目指すチャンスではないだろうか。

執筆・翻訳者:羽谷 信一郎

English Translation

Risk Management 8 – The Olympics teaches captives

It was proposed by the International Olympic Committee (IOC) to move the “marathon and walking course” from Tokyo to Sapporo to cope with the heat, which had been “proposed” ten months before the opening of the 2020 Summer Olympic Games in Tokyo, and despite resistance from the Tokyo host, the decision was made by the IOC.

1. Record of the London Marathon

This may remind many people of the Athens Olympic marathon 15 years ago, held in August 2004, which was so “hot, Athens Olympics”, and the results were dramatic, partly because of this. It was the women’s marathon that the then Prime Minister Blair set up in the bleachers at the finish line to “celebrate the gold medal”, as Britain thought it was “a sure thing”.

However, the first to cut the finishing tape was Mizuki Noguchi, a petite Japanese woman of 150 cm in height. After the torch-lighting ceremony for the Tokyo Olympic Games in Olympia, Greece, the first runner, as is customary, will be a Greek, followed by a second runner.

Britain’s all-important star was Paula Radcliffe, the world record holder in the women’s marathon then, who ran her first marathon in 2002 in 2 hours, 18 minutes and 56 seconds, the second fastest time in the world at the time, and then ran the same marathon in 2003 in London in an astonishing 2 hours, 15 minutes and 25 seconds. She set a world new record. But in Athens, at 36km, she abandoned the race in tears and never cut the finishing tape. Everyone observed that “Radcliffe has the absolute advantage”. Why was she delayed and then abandoned, when she had the best time of six minutes faster than Noguchi?

The London Marathon is held every April, a season when London is still chilly, and Athens in August was at 35°C. The temperature was brutal. Harsh temperatures, slippery marble-lined streets, and an unrelenting heat. The author’s attention was focused on the “highs and lows of the course”.Unlike track events, marathons, which are run on roads, are rarely run on flat surfaces. Unlike track events, marathons, which are run on roads, are rarely run on flat surfaces. London is a city that has grown up along the River Thames.A ride on the Giant Ferris Wheel, the “London Eye”, a tourist attraction, reveals that London is a city of flat land with almost no elevation changes. The course of the London Marathon is like a “big track”. Athens is famous for the Parthenon and the Acropolis, the “hill of the gods,” and its marathon course has a strong sense of elevation change.

2. Slightly uphill

Anyone who has been jogging for a while knows that when you approach an uphill slope, even slightly, it becomes difficult and slows down dramatically, unlike a flat road. This is because it puts a huge load on the rider. Radcliffe’s defining characteristic was that she would pull away from her rivals to win the race. There was no “flat road” in Athens to allow her to run solo.

Kosuke Kitajima, who won gold at the Athens Olympics in both the 100m and 200m breaststroke, had a team of academics and researchers as his “mechanics”, equipped with sophisticated analysis equipment, to analyze the data, the competitive environment and his own performance, and to devise a precise training program and strategy for the Olympic Games.

Paula Radcliffe did not fight alone, either. Even when she set a world record, two male marathon runners, known as “rabbits,” ran in front of her as her “pacemakers. ” That “team” would have done a thorough analysis of the course, temperature, competitors, etc. However, they were unable to produce the results that that analysis led to. There was a “risk” that the “analysis” had overlooked: “just a little bit of uphill, and then a series of uphills”. And then there was the “heat”. It’s a place that should be able to pull away, but it’s never going to be able to pull away,” and then it became a “big slope” that be pulled away. As soon as that happened, I think she may have said, “No way” and abandoned the race, her motivation waned.

In the same way that a small uphill climb can have a big impact on a marathoner, in the management of a business, this seemingly small amount of “load” can have a big impact on the business without even knowing it. We are all wary of a “big slope”. But there is a high risk of overlooking a “little uphill”, and even when we see it, we are overconfident that we can handle it. Don’t you think, “It was all right before, so it will be all right too”? From the perspective of probability theory, if things were fine before, the chances of them not being fine have increased.

3. The Global Link’s view of risk management

Strategies developed only in “flat, normal times” often stumble on “just a few hills.
As a result, many companies have withdrawn from the market or withdrawn from the business.

Risk management is a skill to prevent this from happening. However, I wondered whether risk management was perfect, whether risks could be managed and controlled, and whether something had been overlooked, and whether the risk management methods and manuals prepared during normal times could be used to deal with crises in an emergency. There have been moves to examine and respond to risk management from new perspectives.
Moves to examine and respond to risk management from new perspectives have emerged.

Western multinational corporations have a history of operating in a variety of social environments that are different from those in their home countries. As a result, risk management techniques were developed early on as part of their corporate strategy to eliminate uncertainties that threatened their operations and to hedge risks, and these techniques were adopted by many companies.

Insurance is a typical example of hedging risks. However, “insurance also has risks”. There are two types of risks: “risks that the insurance company will not underwrite” and “exclusion of liability” (items that the insurance company will not pay claims for), which are specified in the insurance policy. There is also a limit to the amount of money insured. The introduction of insurance does not mean a complete hedge of risk. Thus, Global Link’s “Advanced Risk Management” is a more evolutional version of traditional risk management.

4. Solution Captive®.

The Solution Captive® is a captive developed from this “advanced Risk Management” concept.

“The primary significance of owning your own dedicated ‘captive’ insurance company is that ‘in the sophisticated and complex operation of risk management, we can channel the reinsurance market through the captive.’ (From “Opinion to the Supreme Court” dated December 28, 2007, by our legal counsel then, Mr. Sakura Shiga.

Although captives have such a great significance and there are more than 7,000 companies in the world, It is estimated that only about 90 companies are owned by Japanese companies. Various factors have been pointed out, but it is believed that the lack of a risk management perspective, which is the greatest benefit of captives, and the “widespread inappropriate recommendations to structure captives that advocate tax avoidance” have resulted in a lack of trust among corporate managers.

Global Link registered a trademark on December 22, 2016, to clarify the significance of a captive that meets this principle as a “Solution Captive®, a captive that provides a ‘solution’ (solution) to a company’s business strategy”.

The Solution Captive® is “a program that provides significant utility to a company’s business strategy and risk management posture where the risks are so huge and too specific that coverage is generally not available from property and casualty insurers, with the potential to provide such coverage. It can do this because it is “an insurance company that specializes in providing coverage only for its own needs”, rather than an insurance company that meets the needs of many customers with varying degrees of diversity.

We believe that Solution Captives® are an important corporate strategy for companies with the following requirements and challenges, and that they can be of great benefit in improving corporate profitability and advancing their risk management posture.

5. Benefits of Solution Captives®

① We would like to obtain earthquake insurance that not only provides sufficient coverage for “property damage risk” but also “risk of loss of corporate profits due to earthquakes,” which is common in Europe and the United States.
②Despite the fact that the loss ratio has been good for many years, the cost of property and casualty insurance premiums is excessive.
③Currently, the company does not have the insurance and coverage it needs.
④Currently, the insurance and coverage required by the company are not satisfactory.
⑤The deductible amount of the insurance purchased is too large.

Summary of this issue

Risk management is a field of study that was developed in Europe and the United States. Inevitably, there are a lot of “Western languages”. Inevitably, there are a lot of “Western languages”. This has the adverse effect of making it look and sound like that if you use Western languages. Therefore, if a company that does not have “real professional skills” is given this risk management guidance and establishes this system, it will leave a huge challenge for the future. Global Link has been consulted by a number of such companies and has developed a “qualified risk management system”.

We believe this is an opportunity to maximize the benefits of establishing a captive, a corporate strategy of facing risk head-on and turning risk into profit (Turning Risk to Profit®), and to further expand corporate performance.

Author/translator: Shinichiro Hatani