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キャプティブ 2020.03.03

OP 4  フェーズ3(第3段階:キャプティブの運営管理)Phase 3 Operational Management of Captives

当コラム内の文章の無断転載・引用・複製を固く禁じます。

For those who prefer to read this column in English, the Japanese text is followed by a British English translation, so please scroll down to the bottom of the Japanese text.

キャプティブの設立が完了したら、キャプティブの運営管理を開始するため、グローバル・リンクでは、下記①をキャプティブ、そして②をキャプティブのオーナー(以下「親会社」)と締結、「フェーズ3(第3段階:キャプティブの運営管理)」に進み、「キャプティブが保険会社としての活動を開始する」ことになる。

キャプティブの維持・管理に関する、「キャプティブ事業の維持・管理に関わるコンサルティング業務委託契約書(C)」
リスクマネジメント全般に関する、「リスクマネジメントに関わるコンサルティング業務委託契約書」

キャプティブ設立後は、一般的には、上記①の締結のみがおこなわれるものである。しかし、「リスクは刻々と変化して新たなリスクが生み出されていく。そのようなリスクの変化に対応、対処するためには、キャプティブのイノベーションを含め、継続的なリスクマネジメントが必須である」とグローバル・リンクは考えている。

その点から、「キャプティブ設立=リスクマネジメントのゴール」ではなく、ロンドン保険・再保険市場との緊密な連携業務も含め、キャプティブの「親会社の保険・リスクマネジメントの最適化、キャプティブのイノベーションを年間を通して継続的におこなう」ため、②の契約を締結するのである。

キャプティブは、設立地(以下「ドミサイル」という)のキャプティブ関連法に従い、A.現地キャプティブ・マネジメント会社(キャプティブ・マネージャー)、法律事務所、アクチュアリー(保険数理人)、監査および税務担当会計事務所等、これらの「現地有資格専門者・社」、またB.銀行、日本の元受保険会社(キャプティブへの再保険の出再者)、海外の再保険会社(キャプティブからの再保険の契約先)等、「キャプティブ・プログラムのパートナー」と緊密に連携しながら、「保険会社としての業務」を推進していくことになる。

保険の引受、保険料収受、再保険料の支払、再保険金請求、再保険金支払等、また適格な保険数理計算やキャプティブ会計に基づく決算、独立監査、そしてキャプティブ監督当局および税務当局への所要の報告・納税を円滑に実施するために、経験豊かな現地有資格専門者・社等による的確な業務処理が求められる。

現地有資格専門者・社とは、キャプティブが契約当事者となって契約を締結するが、親会社がキャプティブの運営管理を的確に進めていけるよう、専門的な内容を適時、適切にわかりやすく説明できる現地有資格専門者・社等の選定が重要になる。

これらすべてに関してグローバル・リンクはフルサポートをおこなう。以下、「フェーズ3(第3段階:キャプティブの運営管理)」の概要と留意点を記す。

キャプティブの運営・管理業務

①再保険料の収受と再々保険料の支払
親会社は、日本の元受保険会社に元受保険料を支払い、元受保険会社は、親会社との間で取り決めた再保険条件(再保険に出す割合、再保険手数料等)に基づき、キャプティブに再保険料を支払う。元受保険会社からは、再保険料の送金日までに、再保険の取引内容と送金額・送金日を記載した「ボルドロ」と呼ばれる再保険契約の明細書と、キャプティブとの再保険契約書が送られてくる。

一方、再保険会社との再保険(元受保険会社から見れば再々保険)契約を手配した、グローバル・リンクと業務提携をしている再保険ブローカー(「ロイズ・ブローカー」として認証)が指定する口座へ、キャプティブは再保険料を支払期日(保険始期日から90日以内で設定)までに払い込む。再保険ブローカーは、再保険会社と再保険条件について合意してから5日以内に、キャプティブに対して、補償証明書(再保険の補償内容の明細書)と保険料請求書を作成・送付する。

キャプティブが支払う再保険料が高額にのぼることから、再保険料の支払日までに遅滞なく元受保険会社から再保険料を受領してキャプティブのキャッシュフローに影響が及ばないように、元受保険会社や再保険ブローカーと調整する必要があるが、前述のとおり、これらはすべてグローバル・リンクがコンサルティングをおこなう。

②保険金の支払
保険事故が発生して元受保険契約で設定した免責金額を超えると、元受保険契約の契約者(=親会社)は元受保険会社に対して保険金請求を行なう。次に、元受保険会社は、「元受保険会社とキャプティブとの再保険契約書」にしたがい、自社の保有部分を超して支払った保険金について、キャプティブに再保険金の支払請求を行なう。そして、キャプティブは、再保険ブローカーを通じてロンドン保険市場の再保険会社に対して、保有部分を超して支払った再保険金(元受保険会社から見れば「再々保険金」)について、再保険金(再々保険金)の支払請求をおこなう。

保険金の支払の流れは、元受保険会社が損害査定を行ない、元受保険証券にしたがって被保険者(親会社)に対して速やかに支払う。その後、元受保険会社はキャプティブから再保険金を受取ることになるが、元受保険会社に対して再保険金を支払う前に、キャプティブは再保険会社から再保険金(元受保険会社から見れば「再々保険金」)を受取ることになるので、元受保険会社への再保険金の支払いに支障を来たすことはない。

なお、「元受保険会社とキャプティブとの再保険契約」、「キャプティブとロンドン保険市場の再保険会社との再保険契約」には、「カット・スルー条項」(直接支払条項)が通常付帯されており、キャプティブに煩雑な会計処理をさせることなく、「元受保険会社から直接再保険会社へ請求する」ことができ、再保険会社から元受保険会社に直接支払うこととなっている。

③投資
キャプティブによる投資は、キャプティブの監督当局(米国ハワイ州であれば、保険局)が設定する「投資活動ガイドライン」に従う必要があり、ガイドラインから外れる投資をおこないたい場合には、当局の許可が必要となる。通常キャプティブ設立後1年経過した後に認められる「キャプティブの投資活動」は、当初は「資本金」として認められる「低リスクの定期預金」等になるが、潤沢な余剰金が積み上がった後には、キャプティブの監督当局(米国ハワイ州であれば、保険局)の許可のもと、様々な独自の投資が可能になる。

④会計、税務、監査
一般的に、キャプティブの決算期は、親会社と同時期、もしくは「米国キャプティブであれば、米国企業の税務上の決算期である12月末に統一する」ことが多い。しかし、前者の場合には、会計上の決算期と税務上の決算期が異なる場合が出てくるので留意する必要がある。また、キャプティブの銀行口座の残高は、「保険会社としての支払い責任」を果たすため、常に所定の最低資本金を下回らないように注意する必要がある。

キャプティブの税務は、ドミサイルの税制に従うが、保険会社やキャプティブを対象とする税制がある場合には、その専門性が高い現地会計事務所に税務サービスを委託する必要がある。

キャプティブの監査は、キャプティブ・マネジメント会社が作成した財務諸表(案)に対して、キャプティブが委託する独立監査人が行ない、監査済み財務諸表(決算報告書)や監査報告書は、キャプティブの取締役会に報告され、承認を受けることになる。

⑤年次株主総会・取締役会
年次株主総会は、暦年ベースで、年に一度、取締役会で定めた場所・日時に開催される。米国ハワイ州では、取締役会の決定により、株主総会を電話による「遠隔会議システム」で開催してキャプティブの株主代表者が日本から出席することも可能である。議事は、取締役の選任等で、極めて短時間で終了することができる。

通常、年次取締役会は、年次株主総会の際におこなわれる。ハワイ州の場合、1年に1度はハワイ州内において開催する必要があるが、電話会議による開催も可能である。議事は、キャプティブのオフィサー(執行役員)の選任、監査済み財務諸表および保険計理人意見書の承認、現地有資格専門者・社の選任、キャプティブ・マネジャーによる報告等である。

取締役会の定足数は取締役の過半数であり、代理人による出席が認められないことから、取締役選任には留意が必要である。

⑥配当金の支払
配当の上限は、株主資本から「最低資本金+運転資金」を除く金額になり、キャプティブ監督当局の許可を取得した後に配当金の支払が可能になる。

今回のまとめ

キャプティブは、保険会社としてドミサイルの法令・監督規制を遵守しつつ、「日本の元受保険会社」、「ロンドン再保険市場」、そして「ドミサイルのキャプティブ運営管理の各関係先(パートナー)」と緊密に連携して、円滑な業務運営を実現する必要がある。そこで鍵になるのは、親会社に対してわかりやすくきめ細かくサポートができ、関係先と緊密に連携する「豊富な保険、再保険、キャプティブに関する専門知識を有した、キャプティブ・コンサルティング会社」の存在が必須である。

その理由としては、日本の企業間契約ではその条項そのものの存在、また例え入っていたとしても、その発動の可能性は低い条項であるが、キャプティブと現地のキャプティブ・コンサルティング会社(キャプティブ・マネージャー)との「キャプティブのマネジメント・アグリーメント(マネジメント契約書)」には、「3ヶ月の事前通知で双方が一方的に契約を解除できる条項」が入っているためである。

「期の途中でキャプティブのマネジメントを終了したい」との意向が、現地のキャプティブ・コンサルティング会社(キャプティブ・マネージャー)より出された場合、もし「グローバル・リンク」のようなコンサルティング会社の存在が無ければ「キャプティブの運営管理が宙に浮いてしまい、次のキャプティブ・マネージャーが見つからない場合、キャプティブの免許が取り消される可能性があるからである。

グローバル・リンクでもそのような「契約解除」が発生したケースを事実として確認していることを付言しておきたい。この点、十分留意のうえ、キャプティブのコンサルティング会社は十分な専門性と実力を有している会社を選任されることを強く勧めたい。

執筆者:菅原   伸 雄
 翻訳者:羽谷 信一郎

English Translation

Operational Practices 4 – Phase 3 (Operational Management of Captives)

Once the Captive is established, Global Link will enter into (i) the Captive and (ii) the Captive’s owner (the “Parent Company”), as described below, and proceed to “Phase 3 (Operation and Management of the Captive)” in order to begin the operation and management of the Captive.

(1) “Consulting Services Agreement for the Maintenance and Management of the Captive Business (C)”, relating to the maintenance and management of the Captive
(2) “Risk Management Consulting Service Agreement” for overall risk management

After the establishment of a captive, generally only the conclusion of (1) above is carried out. However, “Risks are constantly changing and new risks are being created. Global Link believes that continuous risk management, including captive innovation, is essential in order to respond and deal with such changes in risk”.

From this point of view, the establishment of a captive is not the goal of risk management, but rather the signing of the agreement (2) in order for the captive to “optimize the parent company’s insurance and risk management and innovate the captive on an ongoing basis throughout the year,” including working closely with the London insurance and reinsurance market.

Pursuant to the captive laws of the domicile of incorporation (“Domicile”), A. the Captive will engage the local captive management company (the “Captive Manager”), law firms, actuaries, audit and tax accountants, and other “local qualified professionals and companies” of the Captive, and B. Working closely with “captive program partners” such as banks, Japanese primary insurers (who cede reinsurance to the captive), and foreign reinsurers (who contract for reinsurance from the captive), the “captive program partners” will promote the “business of being an insurance company” by working closely with the captive and its parent company.

Appropriate handling of the business by experienced local qualified professionals and companies will be required in order to facilitate the smooth implementation of insurance underwriting, premium collection, reinsurance premium payments, reinsurance claims and reinsurance payments, as well as financial results based on qualified actuarial calculations and captive accounting, independent audits, and required reporting and tax payments to the captive supervisory and tax authorities.

It is important to select a local qualified professional or company who can explain their expertise in a timely manner and in an easily understandable manner so that the parent company can proceed with the operational management of the captive.

Global Link will provide full support in all of these areas. The following is an overview of Phase 3 (Operational Management of Captives) and points to keep in mind.

Phase 3: Captive Operational Management of Captives

(1) Collection of reinsurance premiums and payment of reinsurance premiums.
The parent company pays primary premiums to the Japanese primary insurer and the primary insurer pays reinsurance premiums to the captive in accordance with the terms and conditions of the reinsurance agreement with the parent company (e.g., percentage to be sent to reinsurance, reinsurance commission, etc.). On or before the date of remittance of the premiums, the primary insurer will send a reinsurance agreement with the captive and a reinsurance contract statement, called a “bordello,” which describes the reinsurance transaction and the amount and date of remittance, as well as the reinsurance agreement with the captive.

In the meantime, the captive will pay the reinsurance premiums to the account designated by the reinsurance broker (certified as a “Lloyd’s Broker”) who has arranged the reinsurance (or retrocession in the eyes of the primary insurer) agreement with the reinsurance company and who has a business relationship with Global Link (certified as a “Lloyd’s Broker”) by the due date (set within 90 days of the policy’s inception date). Payment. The reinsurance broker prepares and sends the captive a certificate of coverage (a statement of reinsurance coverage) and a premium bill within five days of agreeing with the reinsurer on the terms of the reinsurance.

Due to the high cost of reinsurance premiums paid by the captive, Global Link will need to coordinate with the primary insurer and the reinsurance broker to ensure that the captive’s cash flow is not impacted by the receipt of reinsurance premiums from the primary insurer without delay by the date of premium payment.

(2) Claims payment
If an insured event occurs that exceeds the deductible established in the primary insurance policy, the policyholder of the primary insurance policy (i.e., the parent company) makes a claim against the primary insurer. The primary insurer then makes a claim to the captive for the insurance proceeds in excess of its retention in accordance with the “Reinsurance Agreement between Primary Insurer and Captive”. The captive then makes a claim through its reinsurance broker to reinsurers in the London insurance market for reinsurance payments in excess of its retentions (“retrocession payments” in the eyes of the primary insurer).

The process of claim payment is as follows: the primary insurer makes a loss assessment and promptly pays the insured (the parent company) according to the primary insurance policy. The primary insurer will then receive the reinsurance payment from the captive, but the captive will receive the reinsurance payment (the “retrocession payment” in the eyes of the primary insurer) from the reinsurance company before paying the reinsurance payment to the primary insurer, which will interfere with the payment of the reinsurance payment to the primary insurer.

The “reinsurance contracts between the primary insurer and the captive” and the “reinsurance contracts between the captive and the reinsurers in the London insurance market” are usually accompanied by a “cut-through clause” (a direct payment clause), which allows “claims to be billed directly by the primary insurer to the reinsurer” and paid directly by the reinsurer to the primary insurer, without requiring the captive to make cumbersome accounting entries.

(3) Investments.
Investments by a captive must follow the Investment Activity Guidelines established by the captive’s regulatory authority (or, in the case of the State of Hawaii, the Department of Insurance), and any investment that deviates from these guidelines will require the approval of the authority. After one year of the captive’s existence, the “investment activities” of the captive will initially be “low risk time deposits” and other investments that will be permitted as “capital”. Investments can be made.

(4) Accounting, tax and audit.
In general, the fiscal year end of the captive is often the same as the parent company’s, or “if it is a U.S. captive, the end of December, which is the end of the U.S. company’s fiscal year for tax purposes”. However, it should be noted that in the former case, the accounting and tax closing dates may be different. In addition, the captive’s bank account balance should always be kept above the prescribed minimum capital to meet its “liability to pay as an insurance company”.

The taxation of the captive is subject to the tax system of the domicile, but tax services should be outsourced to a local accounting firm with a high level of expertise in the tax system for insurance companies and captives, if any.

The captive will be audited by an independent auditor commissioned by the captive on the draft financial statements prepared by the captive management company, and the audited financial statements (financial statements) and audit report will be reported to the captive’s board of directors for approval.

(5) Annual Meeting of Shareholders and Board of Directors
The annual meeting of shareholders is held once a year on a calendar year basis at a place and date determined by the Board of Directors. In the State of Hawaii, the board of directors may decide to hold the meeting via a telephonic “teleconference system” to allow captive shareholder representatives to attend from Japan. Agenda items can be completed in a very short period of time, including the election of directors.

The annual board of directors meeting is usually held at the time of the annual shareholders’ meeting. In the State of Hawaii, the meeting must be held in the State of Hawaii at least once a year, but may also be held via teleconference. The agenda includes the election of captive officers, approval of the audited financial statements and the opinion of the insurance adjuster, appointment of local qualified professionals, and reports from the captive manager.

Since a quorum for the board of directors is a majority of the directors and proxies are not allowed to attend the board of directors meetings, attention should be paid to the appointment of directors.

(6) Payment of dividends
The dividend will be capped at shareholders’ equity minus “minimum capital plus working capital” and the dividend can be paid after obtaining permission from the captive supervisory authority.

Summary of this issue

As an insurance company, the captive needs to work closely with the “Japanese primary insurer”, the “London reinsurance market”, and the “various partners in the operation and management of the domicile’s captive” to ensure smooth operations while complying with the laws, regulations and supervision of the domicile. The key is to have a “captive consulting firm with extensive insurance, reinsurance and captive expertise” that can provide detailed and easy-to-understand support to the parent company and work closely with the related parties.

The reason for this is that the clause itself is unlikely to exist in a Japanese corporate contract, or even if it does, to be triggered, but the “management agreement” between the captive and the local captive consulting company (captive manager) contains “a clause that allows both parties to unilaterally terminate the contract with three months’ notice”.

If a local captive consulting firm (captive manager) expresses a desire to terminate the management of a captive in the middle of a term, if there is no consulting firm such as Global Link, “the operational management of the captive would be up in the air and the captive’s license could be revoked if a new captive manager is not found.

I would like to add that Global Link has in fact confirmed cases of such “contract termination”. With this in mind, we strongly recommend that you appoint a sufficiently professional and competent captive consulting firm.

Author:Nobuo Sugawara
Translator: Shinichiro Hatani