リスク対応策 2020.03.20
RM 28 D&O保険キャプティブの効用は? The benefits of a D&O insurance captive are?
For those who prefer to read this column in English, the Japanese text is followed by a British English translation, so please scroll down to the bottom of the Japanese text.
先日、一昨年暮れに読んだ本を改めて手に取った。日本経済新聞に大きく広告が出ていた、今ふたたび話題になっている「少数株主」(幻冬舎)である。著者の牛島信弁護士は、小説家としても世に多くのファンを持つ一方で、企業弁護士としても非常に著名であり、50名の弁護士を抱える大事務所、「牛島総合法律事務所」の代表弁護士である。
1.「株主代表訴訟」
財閥系生命保険会社の損保事業の経営コンサルタントを委嘱され、ロイズ(Lloyd’s of London)のシンジケートとともに、「新型『会社役員賠償責任保険(D&O保険)』」の商品開発をおこない2000年発売を開始、その商品の優越性から、かなりの好評を得て市場に大きな衝撃を与え、大きなビジネスに発展して現在でも同社の基幹商品となっていると聞く。
その揺籃期、「更なるマーケティングのために、被保険者である企業の取締役、執行役員の方々向けに、ごく短い啓蒙的な一文を」と思い立ち、牛島信弁護士に直接ご依頼に伺ったことがある。そのきっかけとなったのが、出版されたばかりの「株主代表訴訟」(幻冬舎)であった。それまでの常識を打ち破る斬新なテーマ、「監査役の活躍」に一気呵成に読んだ記憶があり、「どうしても牛島弁護士に」と思ったからである。まったくお会いしたことも、ご紹介も無かったが、大変お忙しいなか、お時間を割いていただき、その主旨に大いに共感されご快諾していただいたことを憶えている。
その「株主代表訴訟」の「あとがき」には:
「代表訴訟をするときには、社長ではなく、監査役に対して『会社が取締役を訴えろ』という要求書を出さなくてはならない、という商法の定めである。だから、株主代表訴訟を語るとすれば、おのずと監査役についても触れることになってくる。もちろん、現実には、この他にも株主にはたくさんの権利があるから、ことはそれほど単純ではないが、今流行りのコーポレート・ガバナンスの観点から言えば、要するに、そういうことである」
と記されていた。
コーポレート・ガバナンスとは、日本語に訳すと「企業統治」であり、「企業を健全に経営するための仕組み」のことである。経営者に権限が集中する弊害を監視し阻止する、組織ぐるみの違法行為を監視、阻止する、企業理念を実現するために業務活動が方向づけられているかどうか等を監視することが大きな目的となる。
具体的な例としては、取締役会に社外のメンバーを入れることや株主総会において選任された取締役の職務執行の適法性を監査する仕組みをつくることとされている。ここで重要なことは、「コーポレート・ガバナンスが有効に機能するためには、更にその前提条件が存在する」ということを認識しているかどうかということである。その前提条件こそ「市場の眼」である。
2.「世界は感情で動く」
以前話題になった本、「世界は感情で動く」(マッテオ・モッテルリーニ著 紀伊国屋書店)に「面白い行動経済学理論」が紹介されている。
このなかで、バブルや恐慌を生む原因の一つに「群れ効果」が挙げられている。情報を的確に判断できない状況や恐怖などが重なると、人々は「皆がやっているから」と他人に習って非合理な経済行動を起こすというのである。「個人が無知であればあるほど、そして特定の行動をとる群れがまとまっていて、強い感情を誘発すればするほど、群れ効果はそれだけ強くなる」と警告している。
今般の新型コロナウイルスの感染拡大の懸念に際しても、トイレットペーパーは日本国内でほとんどすべて生産しているため「流通が滞って問題になることなど無い商品」であるにも関わらず、一部のデマから買い付け騒ぎが起きた、それは香港に始まり、日本国内に波及、そして世界に伝播していったのである。
以前は、「皆が置いている」と監査役を置く企業が多かった。監査役は取締役及び会計参与の業務を監査することが役割である。会社法においては取締役や従業員から必要な報告や書類を求め業務や財産の状況を調査、必要に応じて取締役会を招集、更には取締役会で自由に発言できるという権限が与えられている。監査役の内部統制に関する責任は極めて重い。
しかし、その権限は適法性監査にあり妥当性監査には及ばないとされている。つまり、取締役の職務執行行為が違法もしくは著しく不当である場合には監査の対象となるが、その行為が妥当かどうかは取締役の経営判断の問題であって、経営者ではない監査役は介入すべきではないというものである。
企業に対する「市場の眼」は厳しい。「市場」という、より上位の監視機能の存在がない非上場企業において、「皆がやっているから」と監査役を置き、もし万が一にもその監査役が権利を振りかざし「無知」な役職員をしり目に妥当性監査にまで暴走、挙句に取締役もそれを追認したらと考えると背筋が寒くなる。その決定責任を問う「新・株主代表訴訟」の出版が必要となるであろう。「市場の眼」が無い企業においてはその代わりを何が果たすのか。
3.監査委設置会社
最近、「世界は感情で動く」ようなことを見聞きした。2014年6月の会社法改正により導入された新制度「監査等委員会設置会社」に関することである。上場企業の間で急激な広まりを見せているようであるが、そのうちの一社の取締役を訪問した際、「良く理解していないまま移行に賛成してしまったが、移行したのは良いが、監査上何を変えれば良いのか、よく分らない」との話があった。
2002年、米国の制度を基に企業統治の概念として、「委員会設置会社」という形態が登場した。米国には存在しない「監査役」を置かない代わりに、取締役会の中に、「指名委員会」、「報酬委員会」、「監査委員会」という3つの委員会を設置して経営の監督をおこなおうというものであった。取締役会で執行役を選任、その執行役が業務執行をおこなう。取締役会を「経営の監督機能」と「業務執行機能」に分離するのである。しかし、なかなか導入が進まない制度であったため、「指名委員会」、「報酬委員会」の設置を不要とし、「監査委員会」だけの設置を求めた制度が、この「監査等委員会設置会社」である。
監査役を置かない代わりに、「取締役をチェックする取締役」と「それ以外の取締役」に取締役を別け、前者は「監査等委員である取締役」、後者は「監査等委員である取締役以外の取締役」とする制度である。この監査等委員会設置会社の仕組みを取り入れた上場企業が「1000社を超え、全体の3割弱に達した」との報道が最近あった。
株主総会で監査等委員として選ばれた取締役の過半数は社外取締役である必要があるが、取締役会の中に3人以上で監査等委員会を組織、他の取締役を監督する仕組みであり、人数増を求められている「社外取締役対策」として、社外監査役が横滑りすることで確保する、苦肉の策の要素も多い。
4.D&O保険の果たす意味
こういう状況を見聞きするにつけ、「会社役賠償責任保険(D&O保険)」の果たす役割が大きくなったと考えている。「役員が業務に関わる内容で株主や企業から賠償請求された際、賠償金や弁護士費用などを補償する保険」である。「取締役」を二つに別け、一方に他方を監督させる監査等委員会設置会社の急増の先を見るとそう思えてならないからである。
あるメガ損保が、本年1月1日から売り出した「新型のD&O保険の謳い文句」には、「欧米で提供されるカバーと同等の”充実した補償“」と説明書にあった。「2015年7月に経産省報告書において会社法上の解釈が明確化され、会社が取締役会決議等の一定の手続きを経ることにより、会社補償が可能との解釈が示された」との但し書きはあるが、上記の表現を見ると、「『欧米と同様の充実した補償?』、では、いままでのものはいったい何だったのだろうか」と感じるのは、筆者だけであろうか。
今回のまとめ
新たな「コーポレート・ガバナンス(企業統治)」の導入ということは、「企業の抱えるリスクに変化が起きる」ということである。この「リスクの変化に対して、本格的なリスクマネジメントをおこなう必要がある事態になっている」ということであり、これが「リスクマネジメントの考え方」である。
「会社役員賠償責任保険(D&O保険)」が日本に導入されたのは1990年8月1日であった。その時の「保険約款」は海外一円で事業活動する企業のため、「欧米並み」の補償である「英文約款」であった。その時、筆者は監督官庁よりの商品認可を前提に発足した「経営保険室」と名称を冠した組織、「会社役員賠償責任保険(D&O保険)の引受業務部門」の所属であった。
その「欧米並みの補償」に対して、翌年あるメガ損保が、新たに「和文約款」の認可を受け、それ以降「全社、右え習え」とばかり、各社とも和文約款の「会社役員賠償責任保険(D&O保険)」をこれまで販売してきていた。にもかかわらず、今年から、「欧米並みの補償」という言葉が出るにあたって、「では、これまで、企業が購入してきたD&O保険は一体何だったのか」という疑問が沸く。
「リスクマネジメントは、リスクマネジメントの専門企業と一緒に進めていくこと」、そして「そのためにはキャプティブの存在がどうしても必要であること」をグローバル・リンクは主唱してきたが、「『保険代理店、保険会社任せ』では的確なリスクマネジメントはできない理由」の一つをここに見る、リスクマネジメントは自社が主導することがその成功のための必須条件だからである。
「孫子」に「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず」とある、「敵・競合相手の実情を把握、味方の実情も把握していれば百回戦っても危険はない、負けない」ということであり、これを現代の企業に置き換えると「十分なリスクマネジメントをおこない企業戦略をたてて事業をおこなえば、大きく事業を成功裏に拡大することが出来る」ということである。
コロナ新型ウイルスの発生等、半年前には予想もしなかった「大きなリスク」が顕れてきている、それに対応して撃ち勝っていかなければ企業の存続は無い。「リスクが日々刻々大きく変化している」のである、「自社のリスクマネジメント」を完璧に進めていく手段であるキャプティブの設立をしっかり視野に入れた、「本物のリスクマネジメントの実行が必要な時になった」と考えるべきではないだろうか。
特にD&O保険(会社役員賠償責任保険)という保険は、地震保険と同様に、何時起きるか分らないリスクに対応する保険である。幾らガバナンス、コンプライアンスを厳しく遵守して事業経営をおこなっていても、「不合理なことを出張してくるステークホルダー」はどんな世界に存在する。だから必要な保険なのである。その時、初期消化をしなければ「企業、役員に非が無くても火事にさせられてしまうから」である。
十分な初期対応費用への補償を含めて「初期消火」に万全を期すD&O保険であれば相応にコストも掛かる、しかも「何年、何十年に1回起きるか否かの事案」と考えるのが普通である。毎年高額なD&O保険料を「掛け捨てで支払うこと」のではなく、再保険の手当をしっかりして完全にリスクヘッジしながら、「リスクを収益に変える(Turning Risk to Profit®)」ために「的確なキャプティブ(ソリューション・キャプティブ®)」を設立することは、企業戦略の本義に適うリスクマネジメント戦略である、そう考えている企業が欧米には多い。だからこそ、欧米では7,000あまりのキャプティブが設立、運営されているのである。
地震保険、D&O保険等、「何年、何十年に1回起きるか否かの事案」と考えられるリスクを補償する、高額な保険料が必要となり、「掛けるか掛けないか迷う保険」こそ、キャプティブの効用を最も発揮、企業に大きな収益を与えることになるのである。
執筆・翻訳者:羽谷 信一郎
English Translation
Risk Management 28 ー The benefits of a D&O insurance captive are?
The other day, I picked up a book that I had read the year before last. It is a book titled “Minority Shareholders” (Gentosha), which was widely advertised in the Nihon Keizai Shimbun and is now in the news again. The author, Mr. Makoto Ushijima, is a novelist who has many fans around the world, and is also a well-known corporate lawyer and the head of Ushijima Law Office, a large firm with more than 50 lawyers.
1. “Shareholder Representation Litigation”
Commissioned as a management consultant for the non-life insurance business of a conglomerate life insurance company, he developed a new type of “D&O Insurance” with a syndicate at Lloyd’s of London and launched it in 2000. The product’s superiority made a huge impact on the market, and it has developed into a major business and I heard it is still the company’s core product today.
In the early days of its marketing, I decided to ask Mr. Ushijima to write a short enlightening article for the directors and executive officers of insured companies for further marketing purposes. This was inspired by the recently published “Shareholder Representation Lawsuit” (Gentosha). I remember reading “The Role of Corporate Auditors”, an innovative theme that broke down conventional wisdom, in a single sitting, and I was determined to give it to Mr. Ushijima. I had never met Mr. Ushijima or introduced him to me at all, but I remember that he took time out of his busy schedule to agree with me on the purpose of the lawsuit and agreed to it.
In the “Afterword” to that “Shareholder Representation Lawsuit,” he wrote
The Commercial Code requires that when you file a representative action, you must submit a demand that the company sue the auditor, not the president. Therefore, if we talk about shareholder representation law suits, we naturally have to mention the company’s auditor. Of course, in reality, shareholders have many other rights, so it is not so simple, but from the perspective of corporate governance, which is all the rage at the moment, that is what we are talking about.
Corporate governance, which is translated into Japanese as “KIgyou Touchi ,” is a system for sound management of a company. The main purposes of corporate governance are to monitor and prevent the adverse effects of concentrated authority in the hands of management, to monitor and prevent illegal activities by the entire organization, and to monitor whether or not business activities are directed to realize the corporate philosophy.
Specific examples include the inclusion of outside members on the board of directors and the creation of a system to audit the legality of the execution of duties of directors appointed at the general meeting of shareholders. What is important here is whether the company recognizes that there are additional preconditions for corporate governance to function effectively. That precondition is the “eye of the market”.
2. “The World Moves on Emotions
The book “The World Moves on Emotions” by Matteo Motterlini (Kinokuniya Shoten) introduces “An Interesting Theory of Behavioral Economics”.
In this book, the “herd effect” is mentioned as one of the causes of bubbles and depressions. When there is a combination of fear and inability to accurately judge information, people learn from others and take irrational economic action because everyone else is doing it. The more ignorant an individual is, and the more cohesive a herd of people who behave in a particular way and provoke strong emotions, the stronger the herd effect becomes,” he warns.
At the time of the recent outbreak of the new coronavirus, a rumor caused a buying frenzy, which started in Hong Kong and spread to Japan and then to the rest of the world, despite the fact that almost all of the products are manufactured in Japan and so “there is no problem of stagnation in distribution”.
In the past, many companies had an auditor, saying that everyone else had one. The role of an auditor is to audit the work of the directors and accounting advisors. Under the Companies Act, they have the authority to request reports and documents from directors and employees, to investigate the state of business and assets, to convene meetings of the board of directors when necessary, and to speak freely at board meetings. Corporate auditors have extremely heavy responsibility for internal controls.
However, its authority is said to be in the legality audit and does not extend to the validity audit. In other words, if a director’s performance of duties is illegal or extremely unfair, the director may be audited, but whether his or her actions are appropriate or not is a matter for the director’s judgment, and auditors, who are not managers, should not intervene.
The “market’s eye” on companies is severe. If an unlisted company, which lacks the market’s higher-level oversight function, were to appoint an auditor because “everyone else is doing it,” and if by any chance that auditor were to run wildly into a validity audit with his or her eyes fixed on ”ignorant” executives and employees, and if, afterwards, the directors were to follow suit, a chill runs down one’s spine. The publication of ”a new shareholder representation lawsuit” to hold them accountable for their decisions would be necessary. If a company does not have the “eyes of the market”, what will take its place?
3.Companies with Audit Committees
I recently saw and heard something like “the world runs on emotions” regarding the new “company with an audit committee” system introduced by the June 2014 amendments to the Companies Act. When I visited the director of one of these companies, he said, “I agreed to the transition without understanding it well, but I don’t understand what needs to be changed in terms of audit, although it’s good that we made the transition”.
In 2002, a concept of corporate governance based on the U.S. system called “company with committees” was introduced. Instead of having an “auditor,” which does not exist in the U.S.,there were three committees within the board of directors: the Nomination Committee, the Compensation Committee and the Audit Committee to oversee management.The board of directors would appoint the executive officers and they would carry out business operations. The board of directors would be divided into two separate functions: the management supervision function and the business execution function. However, since this was a slow system to introduce, the “company with an Audit Committee” was created to eliminate the need to establish a “Nomination Committee” and a “Compensation Committee” and only require the establishment of an “Audit Committee”.
Instead of having an auditor, directors are divided into “directors who check on directors” and “other directors”, with the former being “directors who are audit committee members” and the latter being “directors other than directors who are audit committee members”. It was recently reported that the number of listed companies that have adopted this audit committee system “has exceeded 1,000, or just under 30% of the total number of companies”.
Although the majority of directors elected to the audit committee at the general meeting of shareholders must be outside directors, this is a system in which three or more directors form an audit committee within the board of directors to supervise other directors.There are also many elements of the “outside director measures” that are required to increase the number of people on the board of directors, which is a painful measure to ensure that outside auditors are able to slide across the board.
4. Meaning of D&O insurance
As we see and hear about this situation, I believe the role of D&O insurance has become more important. D&O insurance is designed to compensate directors and officers for damages and legal fees in the event that they are sued by shareholders or companies for work-related matters. This seems unlikely given the rapid increase in the number of companies with audit committees, which separate the two groups of “directors” and allow one to oversee the other.
A mega-insurance company launched a new D&O insurance policy on January 1 this year with the claim that it offers “enhanced coverage” equivalent to that offered in the US and Europe, the description said. There is a proviso: “In July 2015, the Ministry of Economy, Trade and Industry (METI) clarified the interpretation of the Companies Act in a report, stating that companies can be compensated by going through certain procedures, such as a resolution of the board of directors,” but the above wording suggests that the phrase “enhanced coverage similar to that offered in Europe and the US” means “the same level of coverage as in Europe and the US”.Looking at the above wording, I wonder if I’m the only one who feels that “‘full compensation as good as in Europe and the United States'” is what it was until now.
Summary of this issue
The introduction of new corporate governance means that a company’s risks will change. The introduction of the new corporate governance system means that companies are facing a change in the risks they face, and this is the concept of risk management.
Company Directors and Officers Liability Insurance (D&O insurance) was introduced in Japan on August 1, 1990. At that time, the policy terms and conditions were in English, which were comparable to those in Europe and the United States, because the companies were doing business overseas. At the time, the author was a member of the “Directors and Officers Liability Insurance (D&O) Underwriting Department,” an organization named “Management Insurance Office,” which was established on the premise that the product would be approved by the regulatory authorities.
The following year, one of the non-life insurance companies obtained approval for a new Japanese-language policy for its “Western-style coverage” and from then on, all companies were selling Japanese-language D&O insurance. However, when the phrase “coverage comparable to Western standards” was introduced this year, the question arose as to what D&O insurance companies had been buying in the past.
The Global Link has been advocating that risk management should be carried out in conjunction with a company specializing in risk management, and that a captive is absolutely necessary for this purpose.
Sun Tzu said, “If you know your enemy and know yourself, you will fight a hundred battles and never lose a battle.”
Major risks, such as the outbreak of the new corona virus, that could not have been predicted six months ago are emerging, and companies will not survive if they do not respond to and defeat them. The risks are changing drastically day by day, and we should consider that we need to implement real risk management, with a view to establishing a captive as a means of perfecting our own risk management.
D&O insurance (Directors and Officers Liability Insurance) in particular, like earthquake insurance, is designed to compensate for the high cost of coverage that can occur at any time. No matter how rigorously you manage your business in terms of governance and compliance, there will always be stakeholders who will make unreasonable demands. This is why insurance is necessary. If you don’t have an initial response, you will be burned by the fire, even if the company and its directors are not at fault.
A D&O insurance policy that covers the full cost of initial ”firefighting”, including adequate compensation for the initial response costs, is reasonably expensive, and is usually considered to be a “once-in-years or once-in-a-decade event”. Establishing the right captive (Solution Captive®) to “Turning Risk to Profit®”, while fully hedging the risk with reinsurance cover, rather than paying high D&O premiums “out of pocket” each year, is the best way to ensure that your business is fully protected.In the US and Europe, many companies believe that setting up a “Solution Captive®” to “Turn Risk to Profit®” while hedging risks is a risk management strategy that is in line with the essence of corporate strategy.In the US and Europe, many companies believe that setting up a “Solution Captive®” to “Turn Risk to Profit®” while hedging risks is a risk management strategy that is in line with the essence of corporate strategy. This is why there are more than 7,000 captives in operation in the US and Europe.
Earthquake insurance, D&O insurance, insurance that covers risks that may only happen once in a few years or decades, require high premiums, and it is the “To buy or not to buy” insurance that gives companies the most bang for their buck.
Author/translator: Shinichiro Hatani