設立・運営 2021.12.03
EM9 キャプティブの設立 No.9 (ケース・スタディ1:地震保険料コストを4割強削減)
当コラム内の文章・画像等の無断転載・引用・複製を固く禁じます。
For those who prefer to read this column in English, the Japanese text is followed by a British English translation, so please scroll down to the bottom of the Japanese text.
ケーススタディ1-キャプティブ・プログラムで地震保険料コストを4割強削減!
キャプティブを所有する最大のメリットは、キャプティブ(自社専用保険会社)を通じて海外の再保険市場に直接アクセスできることである。「キャプティブは保険会社であるからできること」なのである。その結果、「企業向け地震保険」の問題点、「日本国内の保険会社からでは必要な補償金額、内容を十分に確保できない」、「保険料コストが高くて購入が難しい」といったことを解決できることになる。
しかし、日本ではキャプティブが欧米と比べて普及していないため、キャプティブ事業のコストや収益性について具体的な情報をインターネットなどから入手することは困難であり、一般企業がキャプティブ事業、その収支について具体的にイメージすることは難しいのが現状である。
また、地震保険の場合、付保対象となる財物の保険価額(=物件毎に設定される、保険事故の際に保険会社が支払うことができる保険金額の最高限度額)、「財物損壊による損失のみを担保するか、逸失利益や営業継続費用も担保するか」をはじめとする補償内容、保険契約上の総支払限度額(=保険期間中の保険金支払額累計の上限)、建物の建築年・構造、所在地・分散状況等のリスク要因によって、購入できる地震保険料率や総支払限度額が大きく異なってくる。
そこで、今回のコラムでは、ある日本企業「A社」の「地震保険キャプティブ」をモデルにして、「キャプティブ事業収支の全体像」を紹介していくことにしたい。
1.不動産業A社の悩み
A社は首都圏を中心に不動産業を営んでいる。同社のリスクマネジメント上の課題は、「所有する不動産物件がほぼ東京に集中していて、首都圏直下型の大地震が発生した場合、巨大な損害を被る可能性があり、会社の存続さえ危うくなる危険性を孕んでいること」であった。
そこで、同社はこれまで大半の物件の火災保険を掛けてきたDメガ損保に「提供可能な地震保険の内容」を照会した。しかし、「A社が必要とするレベルの補償金額の提示は不可能」であり、更に「補償内容は地震・津波による財物損壊に伴う損害の補償のみ」との返答であった。希望する「地震が発生して事業の継続が困難になった場合の利益の低下等の補償もなされない保険」であり、その上、地震保険料もかなり高額であったことから、地震保険の購入検討を一旦断念することになった。
しかし、その後も、南海トラフ大地震に関する報道に触れていた経営陣から、再度「地震保険付保検討の声」が上がり、指示を受けた経営企画部門がインターネット等を駆使して調べていたところ、「キャプティブが有効な解決策となる」との記述をグローバル・リンクのホームページで発見、グローバル・リンクに問い合わせがあった。
2.グローバル・リンクとの検討開始
グローバル・リンクとの初回打ち合わせによって、「大規模地震発生への解決策はキャプティブである」と確信したA社は、グローバル・リンクに「キャプティブ設立のコンサルティング」を依頼することを機関決定、「フェーズ1(キャプティブの事業化調査)」の契約をグローバル・リンクと締結した。
この「フェーズ1」の目的と意義は、「キャプティブ設立の可能性が有るか否かを調査検討すること」である。グローバル・リンクは、キャプティブ設立に積極的なメガ損保B社に「キャプティブ設立を前提とした地震保険」の検討を依頼、同時に「キャプティブからの再保険」を受け最終的に「リスクを引受ける主体となるロンドン・マーケット(ロンドン保険市場)のメガ再保険会社」との協議をおこなうため、業務提携先である、大手総合商社丸紅傘下の保険ブローカー(保険仲立人)「マルニックス」にロンドン・マーケットへのアプローチを依頼した。
3.キャプティブ設立の可能性
グローバル・リンクはメガ損保B社とともにA社の保有不動産の検証を開始した。詳細を見ていくと、築年数の新しいビルも多く、大規模地震発生時にA社が被るPML(Probable Maximum, Loss: 最大損失可能性)は40億円から50億円と予測された。「これであればなんとかロンドン・マーケットから再保険を確保できるであろう」と判断したグローバル・リンクは、A社に対して「キャプティブ設立の可能性有り」と報告。これを受け、A社では「補償金額」に関して、経営企画部門を中心に経営トップと綿密な検討をおこない、その結果、「キャプティブ・プログラムを介した地震保険の補償金額(総支払限度額)は40億円」を要望することとなった。
また、「補償内容」は、「財物損壊補償」(プロパティ・ダメージ:Property Damage(PD))に加え、「利益補償(=地震で被った損害によって発生した営業利益の減少を補償)及び営業継続費用補償(=復旧までの仮事務所の賃貸料等の補償)(ビジネス・インタラプション:Business Interruption (BI)」と決まった。この補償内容は、日本では一般的には確保することが難しい「世界的レベルの地震保険」の内容である。
要望を受けたグローバル・リンクは、メガ損保B社及びマルニックスとキャプティブ設立を通してこれらの補償金額・補償内容を確保できるか否か、「フェーズ1(事業化調査)」の最終段階に進んで行った。
4.驚きの地震保険コスト
グローバル・リンクは、「再保険会社としての役割を果たす『キャプティブ』の収益を高める」という目的のため、「キャプティブが元受保険会社メガ損保B社から引受ける再保険リスクをできるだけ高くできる」ようにメガ損保B社と交渉していった。
「キャプティブが引受けるリスクをできるだけ高くする」ということは、日本で地震保険を「元受保険会社」として引受けるメガ損保B社が、再保険会社となるキャプティブに対して「(元受保険に対する)再保険の割合」、これを「出再率(出再割合)」と呼ぶが、この出再率をできるだけ高くすることを意味している。
何度かの交渉の結果、「出再率(出再割合)」は「95%」となった。そして再保険に出す元受保険会社の手数料、「再保険手数料」は、「再保険料に対して10%」と決まり、この条件でメガ損保B社が弾き出した、補償金額40億円に対する地震保険料の見積金額は2億3,000万円となった。
「元受保険料2億3,000万円×95%=2億1,850万円」が再保険料の原資となり、ここから10%が再保険手数料として差し引かれ、メガ損保B社の収入は、全体の5%分の保険料(1,150万円)及び再保険料の10%分である再保険手数料(2,185万円)、合計3,335万円となった。
これらが差し引かれた「2億1,850万円-2,185万円(2億1,850万円×10%)=1億9,665万円」が、キャプティブに「再保険料=キャプティブの収入」として送金されることになった。こうして、補償金額40億円の95%、つまり38億円分のリスクがキャプティブへ「リスク移転」する条件での「元受保険」の手配が可能になったのである。
キャプティブのリスクヘッジとなる、「キャプティブからロンドン・マーケットの再保険会社への再保険(元受保険会社から見ると再々保険)」に関してマルニックスが確保した条件は、「メガ損保B社が引受けるリスク40億円の補償額の95%、このキャプティブが引受ける補償金額38億円に対して9,000万円」であった。
「これはどういうこと?、日本を代表するような損害保険会社が『2億円強で引受ける』リスクを世界的なメガ再保険会社は『9,000万円で引受ける』ということ?」という疑問を読者は持たれるであろう。「そんなに保険料が違う?」という思いで。
長年保険に携わってきた筆者でさえ、キャプティブ設立事業を開始するまで、「日本の地震保険料」と「世界の地震保険料」の差がこれほど大きいとは全く知らなかったから無理もない疑問であろう。しかし、これは事実である。
勿論、メガ損保B社といえども、「補償金額40億円」の地震保険をキャプティブ・プログラムによる「再保険のサポート」無しに提供することは不可能なことであった。また、「財物損壊補償」(PD)に加えて「利益補償(BI)]を合わせてこの補償金額まで補償することは、キャプティブを通じて世界的なメガ再保険会社が再保険を引受けることによって初めて可能になった内容であった。
その後「キャプティブ設立」を決定したA社は、グローバル・リンクと「フェーズ2(キャプティブ設立)」のコンサルティング契約を締結、3ヶ月後、キャプティブが受ける2億円強の再保険料から、キャプティブからの再保険料(再々保険料)9,000万円を差し引いた「1億円強の売上総利益」を有するキャプティブをハワイに設立できることになったのである。
5.キャプティブの収入
ここで、キャプティブの収入構造を詳しく見ていくことにしたい。キャプティブの収入は、上記の通り、元受保険会社から受け取る「再保険料」が収入の大半を占めるが、キャプティブの運用資産から生み出される「投資収入」も存在する。
保険料収入
キャプティブの収入保険料は、前述のとおりキャプティブを設立する親会社の元受保険契約時の契約条件でもある「出再率(出再割合)」と「再保険手数料」に基づいて算出される。「出再率(出再割合)」は90~95%とするケースが多く、再保険料は元受保険料に出再割合を乗じたもので、出再部分について元受保険会社が事業費に充てる部分として再保険会社(キャプティブ)が元受保険会社に支払うものであり、再保険料の一定割合、10%前後が設定される。
上述のとおり、キャプティブには元受保険会社から再保険料から再保険手数料を控除した金額がキャプティブの保険料収入になるため、「出再割合がより高く、再保険手数料(率)がより低い再保険条件がキャプティブの保険料収入を向上させる」ことになるのである。
投資収入
一方、キャプティブの投資収入は、キャプティブの当座預金に預ける運営資金を除いた余資の運用による収入である。米国ハワイ州では、キャプティブの投資は監督当局の「投資活動ガイドライン」に基づき行われ、当局承認が得られればガイドライン外の投資も可能であり、上記A社のキャプティブでは、定期預金に余資を預け入れている。
6.キャプティブの支出
キャプティブの支出には、キャプティブの引受リスクをロンドン・マーケット等の海外の再保険会社に外部移転するための「再保険料支払(キャプティブの親会社から見れば再々保険料支払)」とキャプティブの「運営費用支払」がある。
再保険料支払
キャプティブの再保険は、保険ブローカー(保険仲立人)マルニックスを通じて手配するが、再保険料は、再保険会社のアンダーライター(所定の保険引受権限を付与されている専門職)のリスク判断、再保険市場における当該保険の需給状況、再保険会社との取引実績とこれまでの損害率(累計)等によって大きく異なってくる。
キャプティブ運営費用
キャプティブ運営は、保険会社としての運営に必要な機能を外部の専門組織にアウトソーシングして行うことになる。米国ハワイ州に設立するキャプティブの場合、現地のサービス・プロバイダーは、キャプティブ運営を主宰・統括するキャプティブ・マネジャー(Captive Manager)、弁護士(Legal Counsel)、税務および監査担当公認会計事務所、責任準備金等を計算する保険数理人、銀行である。キャプティブ経営者および親会社に対するキャプティブ経営およびキャプティブ・プログラム全般に関わる日本語による日常的なキメ細かなコンサルティング・サービスは、グローバル・リンクのようなコンサルティング会社が別途提供する。これらの外部組織に支払う費用が「キャプティブ運営費用」となる。
7.キャプティブの利益
A社キャプティブのキャッシュフロー収支は、収入(再保険料等)2億円強、支出(運営管理費、再々保険料、税金)1億2,000万円で、+8,000万円であった。所謂「歩留まり」は8,000万円となり、キャプティブに貯まることになった。
一方、親会社であるA社については、元受保険料支払2億3,000万円から保険料損金算入による税効果(30%)を差し引き、キャプティブの税引後利益に対する日本の合算課税支払分を加えた実質支払額、つまり親会社としてのキャッシュフロー収支は▲1億7,000万円となった。
A社グループとしては、キャプティブと親会社のキャッシュフロー収支の合計で、▲9,000万円となった。これは、キャプティブ・プログラムを活用することによって、親会社の地震保険料の実質コストが9,000万円であったことを示しており、保険料コストをキャプティブ・プログラム化する前と後で比較すると、キャプティブ・プログラム化することによりA社グループ全体での地震保険コストを44%削減したことになる。
なお、キャプティブに蓄積した資金は、監督当局の認可を経て、親会社にはいつでも株主配当をすることもできる。
グローバル・リンクから地震保険のキャプティブ・プログラムの紹介を受けて、米国ハワイ州にキャプティブを設立、その結果、A社が希望する地震補償額で、補償範囲を遺失利益にまで拡大した地震保険を、「保険料の実質コストが、キャプティブを設立しない場合よりも4割以上削減できるキャプティブ・プログラム」として導入できたのである。
今回のまとめ
米国ハワイ州にキャプティブを設立し、親会社の地震保険等の元受保険契約をキャプティブ・プログラム化することにより、A社グループとしては、「地震保険コストの4割以上を削減できた」ことになった。
その最大の理由は、キャプティブを通じて海外の再保険市場にアクセスすることにより、元受保険会社からキャプティブに出再する部分(保険リスクの90~95%程度)は、キャプティブが海外の再保険市場から低廉な再保険料で補償を確保できたことにある。
日本の元受保険料との「内外価格差」をキャプティブに留保することが可能になるためであり、グループ内では大幅な保険料コストの削減効果が期待できる。「地震保険は保険料が高すぎる」、「必要な補償を保険会社から提供してもらえない」といった声を聞くが、地震保険のキャプティブ・プログラムは、そのような課題を解決する有効なツールである。
なお、再保険契約の更改時に補償額(総支払限度額)を引き上げる場合、再保険会社では、これまでの補償額(既存のキャパシティ枠)までは保険料水準を極力維持するように努めるが、既存のキャパシティ枠を超す部分は、「ニューリスク」と見做されてその時々の市場価格がベースになる。再保険市場における日本の地震リスクにかかわる市場価格は、巨大地震リスクの高まりとともに年々上昇しており、必要な補償額は早めに増額して「既存キャパシティ化」することが得策である。
キャプティブ・プログラムの組成には、キャプティブ設立・運営の豊富な実務経験と海外の再保険市場にネットワークを有し、日本の保険を知悉しており、保険会社から独立した専門性が高いコンサルティング会社のサポートが重要になる。
「地震リスクが怖いが、地震保険料が高い」と地震保険を掛けていない企業にとっては、キャプティブは有力なソリューション・ツールとなると言えるのではないだろうか。
執筆者 : 上田 修司、 菅原 伸雄、羽谷 信一郎
翻訳者:羽谷 信一郎
It is strictly forbidden to publish, copy, quote or distribute the contents of this column without permission.
English Translation
EM(Establishment ・Management) 9 – Establishment of the Captive No.9 (Case study 1:Reduction of more than 40% of earthquake insurance premium costs)
Case Study 1 – Captive Program Reduces Earthquake Insurance Premium Costs by Over 40%!
One of the greatest advantages of owning a captive is the direct access to overseas reinsurance markets through the captive (its own dedicated insurance company). Captives can do this because they are insurance companies. In the case of earthquake insurance, captives are able to solve the problems of not being able to secure the necessary coverage from Japanese insurers, and the high cost of premiums making it difficult to purchase.
However, as captives are not as popular in Japan as in Europe and the United States, it is difficult for companies to obtain specific information on the costs and profitability of captive business from the Internet, and it is difficult for companies to have a concrete image of captive business and its revenues and expenditures.
In the case of earthquake insurance, it is also difficult to determine the insurable value of the property to be insured (i.e. the maximum amount that the insurance company can pay in the event of an accident), the nature of the coverage, including whether it covers only losses due to property damage or whether it also covers lost profits and business continuity costs, and the total payment limit under the insurance contract (i.e. the total amount that the insurance company can pay during the insurance period). The earthquake insurance premium rates and total payout limits that can be purchased differ greatly depending on risk factors such as the year and structure of the building, its location and dispersion.
Therefore, in this column, we would like to introduce the overall picture of captive business income and expenditure, using an earthquake insurance captive of a Japanese company “Company A” as a model.
1. The distress of company A in the real estate business
Company A operates a real estate business mainly in the Tokyo metropolitan area. The company’s risk management concern is that most of its real estate holdings are concentrated in the Tokyo area, and in the event of a major earthquake directly under the Tokyo metropolitan area, there is a risk of huge damage, which could jeopardize the survival of the company.
The company contacted D-Mega Insurance, which had insured most of the company’s properties, to find out what kind of earthquake insurance it could offer. However, the company was told that “it was not possible to offer the level of cover required by Company A” and that “the cover would only cover damage to property caused by an earthquake or tsunami”. The company decided to give up on the idea of purchasing earthquake insurance because it did not cover the loss of profits in the event of an earthquake making it difficult to continue business, and the premiums were quite high.
However, the management of the company, who had been exposed to media reports on the Nankai Trough earthquake, again voiced the need to consider purchasing earthquake insurance. The corporate planning department, under instructions from the company, researched the matter using the Internet and other means, and found a description on Global Link’s website that stated that a captive would be an effective solution, and contacted Global Link.
2. Start of discussions with Global Link
After the first meeting with Global Link, Company A was convinced that a captive was the solution to a large scale earthquake and decided to ask Global Link to provide consulting services for the establishment of a captive.
The purpose and significance of Phase 1 was to investigate the feasibility of establishing a captive. Global Link asked Mega P&C Insurance Company B, which was actively seeking to establish a captive, to consider the possibility of “earthquake insurance on the basis of the establishment of a captive”, and at the same time to discuss the possibility of “reinsurance from a captive” with a “mega-reinsurance company in the London Market”, which would ultimately “underwrite the risk”. In order to do this, Global Link asked its business partner, Marnix, an insurance broker affiliated with Marubeni Corporation, to approach the London market.
3. Possibility of establishing a captive
Global Link, together with Mega P&C Insurance Company B, started to examine the real estate holdings of Company A. As a result, the probable maximum loss (PML) to Company A in the event of a major earthquake was estimated to be between ¥4 billion and ¥5 billion. Global Link, believing that it would be able to secure reinsurance from the London market, reported to Company A that a captive could be established. In response, Company A held a detailed discussion with its top management, led by the Corporate Planning Department, regarding the amount of coverage, and decided to request a total limit of ¥4 billion for earthquake insurance through the captive program.
In addition to compensation for damage to property, the company also requested compensation for profit (i.e. compensation for loss of operating profit due to damage caused by the earthquake) and business continuity costs (i.e. compensation for rental of temporary offices until recovery). This coverage is the content of a “global level of earthquake insurance”, which is generally difficult to secure in Japan.
In response to the requests, Global Link proceeded to the final stage of the “Phase 1 (feasibility study)”, in which it investigated the possibility of securing these coverage amounts and contents through the establishment of a captive with Mega Insurance Company B and Marnix.
4. Surprising earthquake insurance costs
Global Link negotiated with Mega-P&C Insurance Company B to “increase the risk that the captive assumes from Mega-P&C Insurance Company B” in order to “increase the profitability of the captive in its role as a reinsurance company”.
This meant that Mega P&C Insurance Company B, which underwrites earthquake insurance in Japan as the “primary insurer”, should increase the “ceding ratio” (the ratio of reinsurance to primary insurance) to the captive as the reinsurer.
After several rounds of negotiations, the ceding ratio was set at 95%. Under these conditions, Mega P&C Insurance Company B arrived at an estimated earthquake insurance premium of ¥230 million for an indemnity of ¥4 billion.
From this amount, 10% is deducted as a reinsurance commission, and Mega P&C Insurance Company B earns 5% of the premium (11.5 million yen) and a reinsurance commission (21.85 million yen), totaling 33.35 million yen. After these are deducted, “218.5 million yen – 21.85 million yen (218.5 million yen x 10%) = 196.65 million yen” is transferred to the captive as “reinsurance premiums = captive income”, and 95% of the 4 billion yen in coverage, or 3.8 billion yen, is transferred to the captive. In other words, 95% of the 4 billion yen in coverage, or 3.8 billion yen, was transferred to the captive in a “risk transfer” arrangement.
Marnix’s terms for the reinsurance from the captive to the London Market reinsurer (or reinsurance from the perspective of the primary insurer) were: “95% of the risk of ¥4 billion in coverage underwritten by mega insurer B, ¥90 million for ¥3.8 billion in coverage”.
“What? What does this mean?” “Does it mean that a global mega-reinsurance company will underwrite for 90 million yen a risk that a leading Japanese non-life insurer will underwrite for 218.5 million yen? “The reader may ask: ” Is it really that different?”
This question is understandable, because even I, who have been involved in insurance for many years, had no idea that there was such a big difference between earthquake insurance premiums in Japan and those in the world until I started working for Global Link. However, this is a fact.
Of course, it would have been impossible for mega insurer B to provide earthquake insurance coverage of “4 billion yen” without the “reinsurance support” of a captive program, and it would have been completely impossible to provide “property damage coverage” (PD) plus “benefit coverage” (BI).
As a result, the reinsurance premiums of just over 200 million yen minus 90 million yen “amounts to just over 100 million yen in ordinary income for the captive”.
5. Captive income
We now turn to a closer look at the captive’s income structure. As mentioned above, the majority of the captive’s income comes from reinsurance premiums received from primary insurers, but there is also investment income generated from the captive’s assets under management.
Premium income
The captive’s premium income is calculated based on the ceding ratio and reinsurance commissions, which, as noted above, are also the terms of the primary insurance policies written by the parent company that established the captive. In most cases, the ceding ratio is set at 90-95%, and the reinsurance premium is the ceded portion of the premium multiplied by the ceding ratio, and the reinsurance company (captive) pays the ceding portion to the primary insurer to cover the primary insurer’s operating expenses.
As noted above, the captive receives reinsurance premiums from the primary insurer, less reinsurance commissions, and therefore “higher ceded premiums and lower reinsurance commissions (rates) improve the captive’s premium income”.
Investment income
On the other hand, the captive’s investment income is the income from the investment of surplus funds, excluding operating funds deposited in the captive’s checking account. In the State of Hawaii, the captive’s investments are made in accordance with the supervisory authority’s “Guidelines for Investment Activities”, and with the approval of the supervisory authority, investments outside of the guidelines are allowed, and the captive of Company A above deposits its surplus funds in time deposits.
6. Captive expenditure
A captive’s expenditure includes “reinsurance premium payments” (or “retrocession premium payments” from the perspective of the captive’s parent company) for the external transfer of the captive’s underwriting risk to overseas reinsurers such as the London Market, and “operating expense payments” for the captive.
Reinsurance premium payments
The captive’s reinsurance is arranged through its insurance broker, Marnix, and reinsurance premiums vary widely depending on the risk assessment of the reinsurer’s underwriters, the supply and demand for the policy in the reinsurance market, and the captive’s experience with the reinsurer and its loss ratio to date.
Captive operating costs
Captive management involves the outsourcing of functions necessary for the operation of an insurance company to a specialized external organization. In the case of a captive established in the state of Hawaii, local service providers include the captive manager, who presides over the captive’s operations, legal counsel, a certified public accounting firm for tax and audit, an insurance actuary to calculate reserves, and a bank. actuaries, and banks. Day-to-day, detailed consulting services in Japanese for captive management and the captive program in general for the captive manager and the parent company are provided separately by a consulting firm such as Global Link. The fees paid to these external organisations are the “captive management fees”.
7. Captive profit
The cash flow balance of the Company A captive was +80 million yen, comprising income (reinsurance premiums, etc.) of just over 200 million yen and expenditure (operational and administrative expenses, reinsurance premiums and taxes) of 120 million yen. The so-called “yield” was 80 million yen, which was to be saved in captive.
On the other hand, the parent company, Company A, paid ¥230 million in premiums, minus the tax effect (30%) of the loss on premiums, plus the combined Japanese taxation of the captive’s after-tax profits, resulting in a real payment of -¥170 million in cash flow for the parent company.
As a group, the total cash flow balance of the captive and the parent company was -90 million yen. This shows that the real cost of earthquake insurance premiums for the parent company was 90 million yen by using the captive programme, and comparing the premium costs before and after the captive programme, the captive programme reduced the overall earthquake insurance costs for the A Group by 44%. This represents a 44% reduction in the cost of earthquake insurance for the entire Group.
In addition, the funds accumulated in the captive may be distributed to the parent company as a shareholder dividend at any time, subject to approval by the supervisory authority.
Global Link introduced the company to a captive program for earthquake insurance, and the company set up a captive in Hawaii, USA, and as a result, the company was able to introduce an earthquake insurance policy with the desired amount of earthquake coverage and extended coverage to lost profits, “at a real cost of more than 40% less than without the captive. This was introduced as a “captive programme”.
Summary of this issue
By establishing a captive in Hawaii in the United States and converting the parent company’s earthquake and other primary insurance policies into a captive program, Company A Group was able to reduce its earthquake insurance costs by more than 40% by converting to a captive program.
The reason for this is that by accessing the overseas reinsurance market through a captive, the portion of the risk ceded by the primary insurer to the captive (around 90-95% of the insured risk) can be secured by the captive from the overseas reinsurance market at a lower reinsurance premium.
This is possible because the captive is able to retain the “domestic/international price difference” between the Japanese premiums and the primary premiums, which is expected to significantly reduce the cost of premiums for the Group. The earthquake insurance captive programme is an effective tool to address issues such as “earthquake insurance is too expensive” and “insurers do not provide the coverage we need”.
When reinsurance companies increase the amount of coverage (the total limit of payment) at the time of renewal of a reinsurance contract, they will try to maintain the premium level as much as possible up to the existing amount of coverage (the existing capacity limit). However, any excess over the existing capacity is considered to be “new risk” and based on current market prices. The market price for Japanese earthquake risks in the reinsurance market has been increasing year by year with the increase in the risk of a major earthquake, and it is advisable to increase the required amount of coverage as soon as possible to “existing capacity”.
In order to set up a captive programme, it is important to have the support of a highly professional consulting company that has extensive experience in setting up and running captives, has a network of contacts in overseas reinsurance markets, is familiar with Japanese insurance, and is independent of the insurance companies. If you are afraid of earthquake risk, but the cost of earthquake insurance is too high, and you do not have an earthquake insurance policy, the captive may be a good solution for you.
Author: Syuji Ueda, Nobuo Sugawara, Shinichiro Hatani
Translator: Shinichiro Hatani