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キャプティブ 2020.02.03

キャプティブ 3 ー 最高裁への鑑定意見書




ヘンリー王子の王室離脱問題で、そのあり方について様々な報道がなされている英国王室は、「王室助成金」という名称の国民の税金で賄われているが、戦前の日本の皇室と同じく、英国王室は「クラウン・エステート」と呼ばれる莫大な土地を英国全土に所有している。1760 年英国王ジョージ 3 世は、この土地から得られる収入のすべてをシビルリスト(王室助成金)として国から得られる支給金への報償として、国に譲渡することに同意、この制度は現在まで続いている。

英国王室の公式ウェブサイトによると、王室助成金は、実際にはこのクラウン・エステートの収入から得られる利益の一部から来るものであり、クラウン・エステートの事業収入は、全体で 143 億ポンド(約2 兆円)にのぼる大規模不動産事業による利益は、国庫へ、つまりは国民全体にもたらされているものとなっている。

1. 英国王室領ガーンジー島(Bailiwick of Guernsey)

ガーンジー島は、英仏海峡にあるチャンネル諸島の一つの島である。「首都」はセント・ピーター・ポート。ガーンジーは、ガーンジー島、オルダニー島、サーク島、ハーム島、ブレッシュ島、ジェソー島などの小島から成り立っている。「Bailiwick」は代官の管轄区という意味であるが、日本語には定訳はない。これからも推測できるが、「英国王室領」であり、英国女王を君主としているが、「英国」と呼ぶ、正式名称「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)」には、属していない。

このため、内政に関して英国議会の支配を受けず、独自の議会と政府を持ち、海外領土や植民地と異なり高度の自治権を有しており、EU(欧州連合)にも加盟していない。英国の法律や税制、EU(欧州連合)の共通政策は適用されないが、外交及び国防に関しては英国政府に委任しているため、「主権国家」ではない。

2. ガーンジー島事案

このガーンジー島を巡る訴訟事案において、2009 年 12 月 3 日、最高裁判所がタックスヘイブン対策税制に関する非常に重要な判決を下した。 タックスヘイブン対策税制とは、日本国内の納税者(個人又は会社)が税率の低い外国・地域(タックスヘイブン)に会社(外国子会社)を設立した場合、その外国会社の所得を国内の納税者の所得と合算して課税するというものである。

日本の会社がガーンジー島に子会社を設立して税金を納めていたが、ガーンジー島では、「一定の要件を満たした外国資本法人の所得税(日本でいう法人税)については、税務当局の承認を条件に、0%を超え 30%以下の割合の中から税率を選択して申請することができるという制度」が採用されていた。当時、日本では、税率が 25%以下の外国・地域については、タックスヘイブン対策税制が適用されていたため、25%以下の税率を選択すると、タックスヘイブン対策税制が適用されて、子会社の所得にも日本の税率が適用され課税されることになるため、その会社は 26%の税率を選択して納税をしていた。

これに対し、所轄税務署長は、「そのような制度で納める『税金』は、法人税法上の『外国 法人税』には当たらないので、本件のガーンジー島子会社にもタックスヘイブン対策税制の 適用がある」と主張、ガーンジー島子会社の所得も合算してその会社への課税処分を行った。これを不服として、その会社は訴訟をおこしたが、東京地方裁判所(第一審)及び東京高等 裁判所(控訴審)は、税務署長の判断を支持、敗訴となった。

3. 最高裁判所への鑑定意見書

2014 年(平成 26 年)1 月、グローバル・リンクは、志賀 櫻 氏を顧問として迎えた。当時、日本弁護士連合会税制委員会副委員長の要職にあり、国際租税学会理事日本国代表、東京税関長、大蔵省主税局国際租税課長、OECD 租税委員会日本国代表という蒼々たる役職を歴任された弁護士であり、上記ガーンジー島事案においては原告側の弁護士であった方である。

志賀櫻弁護士が、上記事案の上告にあたり、最高裁判所へ提出した鑑定意見書(2007 年 12 月 28 日付)17 ページ、「緖説」には、「1.原審判示の誤り」と題して、原審判決(東京高等裁判所)の判決概要が記された後、以下のように反論が展開されている。

2.キャプティブの意義についての誤解
ところが、このような判示は、キャプティブについての知識の欠缺(法律用語:けんけつ=欠けていること)及び誤解に基づくものである。
(1) 保険数理に基づく伝統的な保険理論は独自の世界を形作って発展を遂げて来たが、いわゆるファイナンス理論の台頭によって、その理論は変容した。
即ち、ファイナンス理論によって、金融の本質がリスクとリターンのマネジメントであるという理論の基幹が示されたのに応じて、保険の分野においても、かかるリスクとリターンのマネジメントという視点に沿っての、再構築がおこなわれているところである。
(2) キャプティブはそのようなリスク・マネジメントのメカニズムの中において、重要なトゥール(道具)として重要視されている。
(3) 一般に、保険は、経済の隅々までに行き渡って、経済活動の重要なインフラストラクチャーをなしている。
(4) 原審判示のように、キャプティブの存在意義を理解せず、キャプティブはタックスヘイブンを利用する租税回避のための道具でしかない、という全くの誤解に基づく判断が、日本の司法府の判断として先例性を以て定着してしまうことになれば、ファイナンス理論に基づく発展を遂げようとする日本の保険は、その重要な道具立てを失い、その発展を阻害されることになる。すると、ひいては、日本の経済力、国力を弱化させることにもなる。
(5) 司法府として、現在経済における保険の発展を十分に理解するとともに、保険に占めるキャプティブの意義ないしはキャプティブの独自の存在意義を根本的に検証しなければならない所以である

この結果、最高裁判所では、納税者である原告会社が全面的に勝訴したのである。

4.志賀櫻弁護士の著作

残念ながら、志賀櫻弁護士は 2015 年 12 月 20 日逝去された。不思議なことに、以前は訴訟法等の専門書が著作の中心であったが、グローバル・リンクの顧問就任と時を合わせるように、顧問就任の 2 年間で、「タックスヘイブン」に関する以下のような著作を相次いで出版された。いずれの本においても、税逃れを画策する強欲資本主義を構成する政・官・財の面々に対して、強い憤りに満ちた内容になっており、多くの人々にこの事実を知ってもらいたいという痛切な思いがあったのだと感じている。

『タックス・ヘイブン――逃げていく税金』 (岩波新書)
『タックス・イーター――消えていく税金』 (岩波新書)
『タックス・オブザーバー――当局は税法を理解しているのか』(NP 新書)

今回のまとめ

志賀先生は、「民間税調」の中心メンバーとして「政府・与党とは異なる立場から国民のための税制を訴え、弱者に配慮した具体的な提言をしてきた(民間税調HPより)」正義感が大変強い方であった。そういった、先生の溢れんばかりの正義感から、「適格と思えないキャプティブ」が乱立しているなか、グローバル・リンクが、川田剛先生の指導のもと、タックス・ヘイブン(租税回避地)ではなく、米国ハワイ州に、適格、適正なキャプティブ、「ソリューション・キャプティブ®」の設立を志向する事業に深いご理解とご関心を寄せていただき、ご指導いただいた。

志賀先生にいただいた、期間としては、僅か2年間だが、渾身のご指導の質、量は、保存されたデータ量からも裏付けられるが、何十年のご指導に匹敵するものである。このご指導を多くの方々と共有して、ソリューション・キャプティブ®の設立を推進することが、グローバル・リンクに残された使命であると考えている。