キャプティブ 2023.02.28
CA49 なぜ「地震保険」にはキャプティブが必要なのか
For those who prefer to read this column in English, the Japanese text is followed by a British English translation, so please scroll down to the bottom of the Japanese text.
今月6日、2023年2月6日、トルコ南部でマグニチュード7.8の大地震が発生した。この大地震は、トルコ北東部から地中海に向かって存在する東アナトリア断層で起きたが、その9時間後には、この断層から分岐する別の活断層で、更にマグニチュード7.5の大地震が発生、この2回の大地震によって、トルコ並びに隣国シリアで合わせて5万人以上の死亡が確認される大災害となった。また、地震の性質も「建物の倒壊が起こりやすい」と言われている、阪神・淡路大震災と同じ「横ずれ断層型」であったため、被害を大きくした。
これまで、本コラムでは、度々「マグニチュード」のことを記してきた。地震の規模・大きさを示す数値は「マグニチュード」であるが、その大きさが際立った地震が、2011年3月11日に発生した「海溝型地震」、マグニチュード9.0の東日本大震災であった。
今回のトルコの大地震のように、内陸にある断層が動くことによって発生するものは「断層型地震」と呼ばれているが、同じ「断層型地震」であった、1995年1月17日に発生した「阪神・淡路大震災」は、甚大な被害となった地震であったが、マグニチュードは7.3であった。
マグニチュードは、1つ大きくなると、そのエネルギー量の増え方は単なる「プラス1」ではなく30倍になる。このため、マグニチュードが2つ違うと地震のエネルギー量は約1,000倍、マグニチュードが3つ大きくなると地震のエネルギーは実に約30,000倍となる。小数点以下、例えばマグニチュード0.1の差でもエネルギー量では約1.4倍の差、マグニチュード0.2の差では約2倍となる。
この計算式によると、トルコで起きた最初の大地震のマグニチュード7.8は、1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災の20倍を超えるエネルギーを持つ大地震であったと推定される。
2011年3月11日に発生、未曾有の被害をもたらした東日本大震災は、マグニチュード9.0の地震であったが、この計算式から、そのエネルギーは阪神・淡路大震災の実に300倍の巨大地震であった。如何に「海溝型地震」が巨大なエネルギーを発生させる地震であるかが解る。
ただ、今回のトルコの地震には「地震による被害」を増幅させた別のファクターが存在するようである。同国の法務大臣は、2月25日、「適切な手法で工事を行わなかった疑い」などで、建築業者ら180人以上を逮捕したと発表したからである。
1.「地震保険」とは
日本損害保険協会の公式WEBサイトにある「損害保険Q&A」のページには、「地震保険」に関して以下の説明が記されている。
問62 地震保険は、どのような保険ですか。
答え
地震保険は、建物や家財について、地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災・損壊・埋没・流失による損害を補償する保険です。
「地震・噴火またはこれらによる津波」(以下「地震等」といいます。)による建物の火災や損壊などは、その発生予測が困難なことなどから、火災保険では補償されません(「問50」参照)。これらの損害に備えるには、政府と損害保険会社が「地震保険に関する法律」(注1)に基づいて共同で運営している「地震保険」を契約する必要があります。この地震保険は、商品内容・保険料について保険会社間で差異はありません。
注1 地震保険に関する法律 第1条(目的)
この法律は、保険会社等が負う地震保険責任を政府が再保険することにより、地震保険の普及を図り、もつて地震等による被災者の生活の安定に寄与することを目的とする。
地震保険は「被災者の生活の安定に寄与することを目的」とする保険であるため、保険の対象にすることが可能なものは、居住用建物(住居のみに使用される建物および併用住宅)および家財(生活用動産)(注2)に限られています。
したがって、次のものは補償の対象外となります。
1.店舗や事務所のみに使用されている建物
2.営業用什器・備品や商品などの動産
注2 家財(生活用動産)には、以下のものは含まれません。
(1)通貨、有価証券、預貯金証書、印紙、切手、自動車
(2)貴金属、宝石、書画、骨とう等で1個または1組の価額が30万円を超えるもの
(3)稿本(本などの原稿)、設計書、図案、証書、帳簿その他これらに類するもの
つまり、「地震保険」とは「保険会社等が負う地震保険責任を政府が再保険すること」により保険の引受補償責任を日本政府へ転嫁する保険であり、その補償対象は「(地震、津波等によって生じた個人の居住用建物及び家財(生活用動産)の損害)に限定されている保険であるため、企業、法人等が有する建物、財産等はその対象にはなっていないのである。
2.「地震保険」制度の概要
政府、財務省の公式WEBサイトに記載されている「地震保険制度の概要」には、上記「日本損害保険協会の公式WEBサイトの『損害保険Q&A』」と同様の商品説明がなされているが、「日本損害保険協会の公式WEBサイトの『損害保険Q&A』」では、WEBサイト上に添付されているPDFファイル(「地震再保険の概要について」)を参照しなければ直接目に触れることが無い、「政府による再保険」に関して次の説明が記載されている。
「財務省の公式WEBサイト『地震保険制度の概要』」のページ。
政府による再保険
地震等による被災者の生活の安定に寄与することを目的として、民間保険会社が負う地震保険責任を政府が再保険し、再保険料の受入れ、管理・運用のほか、民間のみでは対応できない巨大地震発生の際には、再保険金の支払いを行うために地震再保険特別会計において区分経理しています。
1回の地震等により政府が支払うべき再保険金の総額は、毎年度、国会の議決を経た金額を超えない範囲内のものでなければならないとされています。
現在、その金額は11兆8,083億円であり、民間保険責任額と合計した1回の地震等による保険金の総支払限度額は12兆円です。
総支払限度額は、これまでも関東大震災クラスの地震と同等規模の巨大地震が発生した場合においても対応可能な範囲として決定されています。過去、阪神・淡路大震災や東日本大震災などの巨大地震が発生した際にも、保険金の支払額は総支払限度額内であり、円滑に保険金が支払われております。
なお、万一、この額を超える被害地震が発生したときには、被害の実態に即し、また、被災者生活再建支援制度の活用など他施策も考慮しつつ、保険制度の枠内にとらわれず幅広い観点から、財源の確保も含め、適時適切に政策判断が行われるものと考えております。
筆者が付した下線部分は、「日本損害保険協会の公式WEBサイト『地震保険』」のページでは、前述のとおりWEBサイトに添付されているPDFファイル(「地震再保険の概要について」)を開かなければ目に触れることが無く、以下の様な説明となっている。下線は筆者が付加。
公共性の高い保険
地震保険は、「地震保険に関する法律」に基づき、政府と損害保険会社が共同で運営する公共性の高い保険です。
地震保険では、大地震による巨額の保険金の支払いに備えて政府がバックアップしています。
3.「地震保険」制度の限界
つまり、地震保険の対象となる「個人の住居、家財」等に地震保険が掛けられていて、「1 回の地震等による損害保険会社全社の支払保険金総額が11.7兆円を超える場合」、その「支払われる保険金」は、「全損、大半損、小半損または一部損の算出保険金× 11.7兆円」を「算出保険金総額で控除した金額」となるということである。
これまで大地震、 東日本大震災が発生した際にも、削減することなく保険金は支払われているが、万が一「算出保険金総額」 (=全保険会社が支払う保険金総額)が11.7兆円を越える場合、支払われる保険金の額は、「算出保険金総額」 (=全保険会社が支払う保険金の総額)を分母に置いて分子に11.7兆円を置き、それに「自分に支払われるべき保険金」を乗じたものになる。
南海トラフ大地震が発生、最大損害予測値の220兆円の「算出保険金総額」 (=全保険会社が支払う保険金総額)が発生した場合、「2000万円の保険金額で地震保険を掛けていて、保険金額満額の支払い対象になる損害が発生した場合」は、「2000万円×11.7兆円÷220兆円=約107万円の保険金が支払われる」という計算になってしまうということである。
この意味からも、一般的に提供されている「地震保険」は完全復旧を補償するものではなく、あくまでも「地震被害を受けた際の当座の生活資金を補償するもの」と考えた方が良い保険であり、それを裏付けるように、「日本損害保険協会の公式WEBサイト」の「備えて安心 地震保険の話」と題した地震保険の説明のページには次の様な説明が掲載されている。下線は筆者が付加。
備えて安心 地震保険の話
概要
地震はいつどこで起こるかわかりません。
そんな地震や噴火、これらによる津波に対して、経済的に備えるのが地震保険です。
このパンフレットでは、被災後の当面の生活を支えてくれる地震保険の内容について、わかりやすく解説しています。
「復旧、しかも完全復旧を補償する保険」を求めるのなら「別の手段」を検討すべきであるということである。個人の問題であれば、大半は数千万円程度の被害額になるが、企業となれば数十億円、数百億円もの被害となるため、「別の手段」としてキャプティブが注目されている大きな理由の背景はここにあるのである。
4.企業用「地震保険」
「企業用地震保険」というものは存在せず、企業の地震リスクを補償する保険の形態としては、「企業用火災保険に地震危険補償特約を付帯して引受けるもの」(以下「企業用『地震保険』」)となる。
ただ、ここで重要なポイントとしては、この企業用「地震保険」においても、個人の「地震保険」と同様、「財物損壊」を補償するものとして設計、提供されていることである。
建物、収納されている機械類が損害を受けることによって、地震以前と同等に事業を継続することが困難になった場合、事業収益の低下をきたすが、この「事業中断(=収益の低下)」を補償する補償も提供されることは、ごくごく限定的であり一般的ではない。
その理由としては、①「収益低下への補償は、損害保険会社の特約再保険では、一般的には対象外になっているため、再保険会社と一から個別に交渉しなければならず、補償枠を得られる可能性も高くない」ため、また②そもそも、「限りある地震保険の引受けキャパシティ(引受枠)をより多くの顧客に販売するため」である。
しかし、欧米で提供されている、世界レベルの地震保険は、一般的に「財物損壊」の補償と「事業中断(=収益の低下)」への補償を併せ持ったものであり、日本では一般的には得られない補償内容である。
上記3.の「補償額」の問題でキャプティブの機能が注目を浴びているが、更にはこの「補償範囲」の点でもキャプティブの有用性が際立っているのである。
つまり、キャプティブは再保険の仕組みによって、「世界レベルの『財物損壊』の補償と『事業中断(=収益の低下)』への補償を併せ持った地震保険」を得ることができるプログラムと言えよう。
今回のまとめ
地震国日本でも、トルコの地震と同様の横ずれ断層型の大地震が起きる可能性は大いにある。政府の地震調査研究推進本部(地震本部)によると、「活断層とされているものは日本に約2000、このうち大きな被害をもたらすと考えられている主要な活断層は114あるが、30年以内の地震発生確率が高い活断層帯は全国で30カ所を超える」からである。
筆者も、損害保険業界に長らく籍を置いてきたが、東日本大震災を経験するまで、地震保険の実態を詳しく検証することはなかった。「当り前の保険」としか考えていなかったからである。しかし、前述したような「地震保険制度の頼りなさ」を知れば知るほど、「なんとかしなければ」という思いが強くなった。その思いを叶えてくれた存在が、米国の損害保険会社で勤務していた時に毎日携わっていた「キャプティブ」であった。
しかし、米国で携わっていたキャプティブの保険種目は、火災保険がメインであり、西海岸を除いて地震リスクの少ない米国では、地震保険を目にすることは少なかったため、「地震保険の引受キャパシティ(引受力)を海外の再保険会社の力によって補完する」という、現在グローバル・リンクが構築したビジネスモデルに接することは無かった。
その後、多くの方々のアドバイス、サポートのおかげで、「地震保険の引受キャパシティ(引受力)を海外の再保険会社の力によって補完するためにはキャプティブが最善のツールである」ということに辿り着くことができ、キャプティブの力を遺憾なく発揮できる「地震保険キャプティブ」をグローバル・リンクのメイン事業として開始することができた。
以降、とりわけ地震保険、地震リスクに強い関心を持って臨むようになり、本コラムでも地震リスクをメインに記すようになってきた。「補償額」及び「補償範囲」、この保険の2大ファクターで「頼りない地震保険制度」を補完することができる存在はキャプティブを於いて他に存在しないと言える。
「地震リスクが怖いが、地震保険料が高い」とこれまで地震保険を掛けてこなかった企業は、このトルコの地震を天の警鐘と捉えて地震保険を強固に補完する存在であるキャプティブに取り組む時期が今ではないだろうか。
執筆・翻訳者:羽谷 信一郎
English Translation
Captive (CA) 49 – Why do we need captives for “earthquake insurance”?
On 6 February 2023, a major earthquake of magnitude 7.8 on the Richter scale occurred in southern Turkey. The earthquake occurred on the East Anatolian Fault, which runs from north-eastern Turkey towards the Mediterranean Sea, and was followed nine hours later by another magnitude 7.5 earthquake on a different active fault that branches off from the fault, resulting in two major earthquakes that together killed over 50 000 people in Turkey and neighboring Syria. The nature of the earthquakes was the same as that of the Great Hanshin-Awaji Earthquake, which is said to be “prone to collapsing buildings”, and the nature of the earthquakes was the same as that of the Great Hanshin-Awaji Earthquake, the “lateral shift fault type”, which caused extensive damage.
This column has often referred to “magnitude”. Magnitude is a numerical value that indicates the size and magnitude of an earthquake, and the earthquake that stood out for its magnitude was the Great East Japan Earthquake of 11 March 2011, a ‘trench-type earthquake’ with a magnitude of 9.0. Earthquakes that are caused by the movement of an inland fault, such as the recent major earthquake in Turkey, are known as fault-type earthquakes.
Earthquakes that are caused by the movement of an inland fault, such as the recent major earthquake in Turkey, are known as fault-type earthquakes. The Great Hanshin-Awaji Earthquake of 17 January 1995, which was also a fault-type earthquake, caused extensive damage but was only 7.3 on the Richter scale.
When the magnitude increases by one, the increase in the amount of energy is not merely “plus one” but a factor of 30. Thus, two different magnitudes increase the amount of energy of an earthquake by a factor of about 1,000, while three magnitudes increase the energy of an earthquake by a factor of about 30,000. Even a difference of, say, 0.1 magnitude to the decimal point results in a difference of about 1.4 times the amount of energy, while a difference of 0.2 magnitude results in a difference of about twice as much.
According to this formula, the magnitude 7.8 of the first major earthquake in Turkey is estimated to have been a major earthquake, with more than 20 times the energy of the Great Hanshin-Awaji Earthquake of 17 January 1995.
The Great East Japan Earthquake, which occurred on 11 March 2011 and caused unprecedented damage, was a magnitude 9.0 earthquake, but according to this formula, it was an earthquake with 300 times the energy of the Great Hanshin-Awaji Earthquake, which shows how “trench earthquakes” are earthquakes that generate enormous amounts of energy. This shows how “trench earthquakes” are earthquakes that generate huge amounts of energy.
However, there seems to be another factor in the Turkish earthquake that amplified the “damage caused by the earthquake”. On 25 February, Turkey’s Minister of Justice announced the arrest of more than 180 builders and other construction workers on suspicion of not carrying out construction work in an appropriate manner.
1. “Earthquake insurance”
The “Non-Life Insurance Q&A” on the official website of the Non-Life Insurance Association of Japan provides the following explanation of “earthquake insurance”.
Q62: What kind of insurance is earthquake insurance?
Answer.
Earthquake insurance covers damage to buildings and household goods caused by fire, damage, burial or loss due to earthquakes, eruptions or tsunamis.
The policy covers fire and damage to buildings caused by “earthquakes, eruptions or tsunamis caused by these” (“earthquakes, etc.”). Fire insurance does not cover fire or damage to buildings caused by ‘earthquakes, eruptions or tsunamis’ (hereinafter referred to as ‘earthquakes etc.’), as it is difficult to predict their occurrence (see Q50). To protect against such damage, it is necessary to purchase earthquake insurance, which is jointly operated by the government and non-life insurance companies in accordance with the Law on Earthquake Insurance (Note 1). There is no difference between insurance companies in terms of product content and premiums for this earthquake insurance.
Note 1: Law on earthquake insurance, Article 1 (Purpose).
The purpose of this Act is to promote the spread of earthquake insurance and thereby contribute to the stability of the lives of victims of earthquakes and other disasters, by having the Government reinsure the earthquake insurance liability assumed by insurance companies and others.
As earthquake insurance is designed to ‘contribute to the stability of the lives of disaster victims’, coverage is limited to residential buildings (buildings used exclusively as dwellings and combined dwellings) and household goods (movable property for daily use) (Note 2).
Therefore, the following items are excluded from coverage.
1. buildings used exclusively for shops and offices
2. movable property such as business fixtures and fittings and goods.
Note 2: Household goods (movable property for daily life) does not include the following items.
(1) Currency, securities, certificates of deposit, stamps, stamps, automobiles
(2) Precious metals, jewelry, paintings and calligraphic works, bone and bone objects, etc., the value of which exceeds ¥300,000 per piece or per set.
(3) Manuscripts (manuscripts of books, etc.), designs, drawings, deeds, account books and other similar items.
In other words, “earthquake insurance” is insurance that transfers the insurance underwriting liability to the Japanese Government by “the Government reinsuring the earthquake insurance liability assumed by insurance companies, etc.” and its coverage is limited to “damage to residential buildings and household goods (movable property for daily use) of individuals caused by (earthquake, tsunami, etc.)”, so that companies The insurance does not cover buildings, property, etc. owned by companies, corporations, etc.
2. Outline of the “earthquake insurance” system
The “Outline of the Earthquake Insurance Scheme” on the official websites of the Government of Japan and the Ministry of Finance provides the same product description as the “Non-Life Insurance Q&A on the official website of the Non-Life Insurance Association of Japan” above, but the “Non-Life Insurance Q&A on the official website of the Non-Life Insurance Association of Japan” does not include a PDF file attached to the website (“Earthquake Reinsurance”). The “Non-Life Insurance Q&A” on the official website of the General Insurance Association of Japan (GIAJ) provides the following explanation of “reinsurance by the government”, which is not directly visible without referring to the PDF file attached to the website (“Outline of Earthquake Reinsurance”).
‘”Official WEB site of the Ministry of Finance, “Overview of Earthquake Insurance Scheme”‘.
Government reinsurance
With the aim of contributing to the stability of the lives of earthquake victims, the government reinsures the earthquake insurance liability assumed by private insurers, receives, manages and operates the reinsurance premiums and, in the event of a major earthquake that the private sector alone cannot handle, pays the reinsurance claims, which are accounted for separately in the Earthquake Reinsurance Special Account. Reinsurance.
The total amount of reinsurance payable by the Government for one earthquake or other event must not exceed the amount approved by the Diet each financial year.
Currently, that amount is 11,808.3 billion yen, and the total payout limit for insurance claims due to one earthquake, etc., combined with the amount of private insurance liability, is 12 trillion yen.
The total payout limit has been determined as a range that could be met in the event of a huge earthquake of the same magnitude as the Great Kanto Earthquake. In the past, when huge earthquakes such as the Great Hanshin-Awaji Earthquake and the Great East Japan Earthquake occurred, the amount of insurance claims paid was within the total payout limit and claims were paid smoothly.
In the unlikely event of an earthquake with damage exceeding this amount, policy decisions will be made in a timely and appropriate manner, including the securing of financial resources, from a broad perspective that is not limited to the insurance system, taking into account the actual damage and other measures such as the use of the Support System for Rebuilding Disaster Victims’ Lives.
The underlined part added by the author is not visible on the official website of the General Insurance Association of Japan (‘Earthquake Insurance’), unless the PDF file attached to the website (‘Outline of Earthquake Reinsurance’) is opened, as mentioned above, and the explanation is as follows. Underlining added by the author.
Insurance of a public nature
Earthquake insurance is a highly public insurance policy jointly administered by the Government and non-life insurance companies in accordance with the Law on Earthquake Insurance.
Earthquake insurance is backed up by the government against the huge insurance payouts caused by major earthquakes.
3. Limitations of the “earthquake insurance” system
In other words, if earthquake insurance is placed on “individual dwellings, household goods”, etc. that are covered by earthquake insurance, and “the total amount of insurance claims paid by all non-life insurance companies due to one earthquake, etc. exceeds 11.7 trillion yen”, the “insurance amount paid” is “calculated insurance claims for total loss, major loss, minor loss or partial loss x 11.7 trillion yen”, which is the “amount deducted by the total amount of insurance claims calculated The insurance payout is the amount obtained by deducting the “calculated insurance payout for total, major, minor or partial loss x 11.7 trillion yen” from the “calculated total insurance payout.
In the event of a major earthquake or Great East Japan Earthquake, insurance claims have been paid without reduction, but if the “total calculated claims” (= the total amount of claims paid by all insurers) exceeds 11.7 trillion yen, the amount of claims paid will be calculated by deducting the “total calculated claims” (= the total amount of claims paid by all insurers) in the denominator from the “total calculated claims” (= the total amount of claims paid by all insurers) in the numerator and deducting the amount of claims paid in the numerator from the “total calculated claims” (= the amount of claims paid by all insurers) in the denominator.
In the event of a major earthquake in the Nankai Trough and a “calculated total insurance payout” (= total insurance payout to be paid by all insurers) of JPY 220 trillion, ‘if you have earthquake insurance with a policy amount of JPY 20 million and a loss occurs that is eligible for payment of the full insurance amount’, then ‘JPY 20 million x JPY 11.7 trillion / JPY 220 trillion The insurance amount is calculated as “JPY 20 million x JPY 11.7 trillion ÷ JPY 220 trillion = JPY 1,070,000”.
Earthquake insurance does not compensate for complete restoration, but rather for the immediate living funds in the event of earthquake damage, and this is supported by the following explanation on the official website of the General Insurance Association of Japan, which explains earthquake insurance under the title of “Prepare for the earthquake and rest assured, the story of earthquake insurance”. The following explanation is provided on the official website of the Non-Life Insurance Association of Japan.
Prepare for peace of mind: the story of earthquake insurance.
Overview.
You never know when or where an earthquake will strike.
Earthquake insurance provides financial protection against such earthquakes, eruptions and tsunamis caused by them.
This brochure provides an easy-to-understand explanation of the contents of earthquake insurance, which will support your immediate life after a disaster.
It means that if you want “insurance that covers restoration, and even complete restoration,” you should consider “other means.” This is the main reason why captives are attracting attention as an ‘alternative means’.
4. corporate “earthquake insurance”.
There is no such thing as “corporate earthquake insurance”, and the form of insurance covering corporate earthquake risk is “corporate fire insurance with a special clause for earthquake risk compensation” (“corporate ‘earthquake insurance'”).
The important point here is that corporate earthquake insurance, like individual earthquake insurance, is designed and provided to compensate for “property damage”.
If a building or stored machinery is damaged, making it difficult to continue business as before the earthquake, business profits will decline, but coverage for this “business interruption” (i.e., decline in profits) is also provided only in very limited cases and is not common.
The reasons for this are (i) because “compensation for the decline in earnings is generally not covered by non-life insurance companies’ rider reinsurance, so it has to be negotiated individually with reinsurers from scratch and the possibility of obtaining compensation is not high” and (ii) because “the limited earthquake insurance underwriting capacity (underwriting quota) is used to sell earthquake insurance to a larger number of customers” to begin with.
However, world-class earthquake insurance offered in Europe and the US generally combines coverage for “property damage” with coverage for “business interruption (i.e., loss of earnings)”, which is not generally available in Japan.
Captives are attracting attention for their function in terms of the “amount of compensation” mentioned in 3. above, but their usefulness also stands out in terms of their “scope of coverage”.
In other words, a captive is a programme that, through a reinsurance mechanism, can provide “world-class earthquake insurance with coverage for ‘property damage’ and ‘business interruption’ (i.e., loss of earnings)”.
Summary of this issue
There is a great possibility that Japan, an earthquake-prone country, will experience a major earthquake of the lateral displacement fault type similar to the one in Turkey. This is because, according to the government’s Earthquake Research Promotion Headquarters (Earthquake Headquarters), “there are approximately 2,000 active faults in Japan, of which 114 are major faults that are thought to cause major damage, and there are more than 30 active fault zones across Japan where the probability of an earthquake occurring within 30 years is high”.
Although the author has been in the non-life insurance industry for a long time, I did not examine the actual situation of earthquake insurance in detail until after the Great East Japan Earthquake. This is because we considered it to be just a “normal insurance policy”. However, the more I learnt about the unreliability of the earthquake insurance system, the stronger my desire to do something about it became. This desire was fulfilled by a captive, which I was involved in every day when I was working for a non-life insurance company in the USA.
However, the captives I was involved with in the US were mainly fire insurance, and in the US, where there is little earthquake risk except on the West Coast, I rarely saw earthquake insurance, so I decided to develop a new business model, “supplementing the underwriting capacity of earthquake insurance with the strength of overseas reinsurers”, which is currently being developed by Global Link.
With the advice and support of many people, I have since come to the conclusion that captives are the best tool for supplementing earthquake insurance underwriting capacity with overseas reinsurers’ capabilities. This has enabled Global Link to launch the “Earthquake Insurance Captive” as its main business, which fully exploits the power of captives.
Since then, we have taken a particularly strong interest in earthquake insurance and earthquake risk, which is the main focus of this column. Captive is the only insurance company that can complement the “unreliable earthquake insurance system” with two major insurance factors: the amount and scope of coverage.
Companies that have not taken out earthquake insurance because they are afraid of the risk of earthquakes, but have found earthquake insurance premiums too high, should now take the Turkish earthquake as a wake-up call and start working on captives, which can provide a solid complement to earthquake insurance.
Author/translator: Shinichiro Hatani