リスク対応策 2022.04.15
RM71 地震リスクに対するキャプティブ 「それでも大陸は動いている」
For those who prefer to read this column in English, the Japanese text is followed by a British English translation, so please scroll down to the bottom of the Japanese text.
人類は陸地で生活している。中学校の理科で習った憶えがあるが、「陸地は地球上の3割で、残り7割は海」である。しかし、海岸沿いに住んでいなければ、生活していて見える景色は、「陸地ばかり」であり、海の存在を忘れているものである。
そんな我々に大きな損害を与える地震は陸地で起きるが、その「根源の力」は海に存在する。陸地の断層が動いて起きる「断層型地震」でも、「陸地のみの動き」のように見えるが、その「動きの根源の力」は海の底が接している地球の外殻、「プレート」に存在する。
フィリピン海プレートや太平洋プレートのような「海洋プレート」 は、「陸側プレート」に比べて比重が重いため陸側プレートに沈み込んでいく、その結果、陸側プレートに歪みをもたらす。陸側プレートはその歪みを解消するため、「作用反作用の法則」で跳ね上がる、この結果起きる大地の動きが「海溝型地震」と呼ばれるものである。
このプレートの動きの「運動エネルギー」は、陸側プレート内部にある「断層」にもその力を加えていく。この結果起きる地震が「断層型地震」である。これがプレートテクトニクス(プレート理論)で説かれている「地震が起きる理由」である。
これらのことから、陸地にある断層の研究、調査よりも、本源を辿るために「海洋プレート」を調査、研究することの方が地震リスク解明への本質的なアプローチになることが解るが、それを容易に許さない存在がある、「海」である。プレート同士が接している「接地面」、深さ6000m以上にあるものは「海溝」、それ未満のものは「トラフ」と呼ばれるが、この海底の調査は「海の底深くを調査する必要」があるため容易には進まない。
その詳細までを具に解明していくことは難しいが、近年発達してきた衛星画像によって「地震リスクの在処」を大まかに見ることができる。
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上図は、日本列島の衛星画像である。画像右側の濃い青色の「太平洋プレート」が日本列島の東半分の土台である「北米プレート」へ、また紀伊半島から九州に掛けて拡がる青色の「フィリピン海プレート」は、日本列島中央の「フォッサマグナ」を境にして西半分の土台である「ユーラシアプレート」に接している。その境界面は、濃い青色であり、深い海、海溝、トラフになっていることが解る。
現代では、このように「衛星」からの画像を手掛かりに地球の構造を容易に推し量ることができるが、「衛星」も無い20世紀始め、「地図」だけを頼りに冒頭の「プレートテクトニクス理論(大陸移動説)」を提唱した人物がいる、ドイツの気象学者「アルフレート・ヴェーゲナー」である。
1.アルフレート・ヴェーゲナー
中学、高校の教科書では、紙幅の所為もあり「プレートテクトニクス理論(大陸移動説)は、ヴェーゲナーが世界地図を見ていて思いついた」程度にしか書かれていない。事実、彼は世界地図を見ていて、南大西洋を挟んで、「南アメリカ大陸の海岸線とアフリカ大陸の海岸線がよく似ていることに気づき、これが大陸移動説を生み出すアイデアになった」と言っている。 1912年にフランクフルトで開かれたドイツ地質学会で初めてこの「大陸移動説」を発表した。
しかし、この説は、今から100年以上前の時代、人工衛星はおろか、「木製の骨組み」で「布張りの翼」でライト兄弟が「ライトフライヤー号」で初めて空を飛んだ頃に提唱された説である。
「大陸と海洋の起源」(アルフレッド・ウェゲナー(著) 竹内 均(訳) 鎌田 浩毅(解説) 講談社(刊))を読むと、100年以上前、当時入手できる限りの科学的データを基にして、緻密な理論が展開されていったのが良く理解できる。この最初の発表の後、ウェゲナーは4回も改訂版を出しているが、学会では、彼の説は無視され続けた。
後年、「プレートテクトニクス理論」として完成する説であるが、その骨格となった彼の「大陸移動説」であっても、氷河の分布、地質等、様々な理論的証拠があったが、当時の人たちには、「大陸が動くことはあり得ないこと」と考えられていたことがその一番の理由であろう。
同書の巻末にある、鎌田 浩毅 京都大学名誉教授の「解説」には次の言葉がある。
世界地図を広げると、地球のでき方に関して様々なことが読みとれる。大西洋に目をやると南アメリカのブラジル東部の凸部が、アフリカのコンゴ西部の凹部と合わさるように見える。同様に、南アメリカ東部とアフリカ西部の海岸の出入りが、ジグソーパズルにでもなっているかのようだ。ウェゲナーは大西洋をはさむ大陸の海岸線が似ているという事実に対して、実証科学的に着目した。「地形」がだいたい合うことだけでなく、地盤をつくる「地質」も連続することに気づいたのである。すなわち、二次元の平面上の類似性から三次元の地下構造へ視点が広がったのだ。たとえば、北アメリカ東部のアパラチア山脈が、大西洋を越えてスコットランドやスカンジナビア半島につながっていることを確認し、大陸移動説を導いていったのである。
2.大陸移動説からプレートテクトニクス理論へ
アルフレート・ヴェーゲナーの「大陸移動説」が学会で注目を集めなかった理由の一つは、「大陸が移動する根源の力」を理論的に説明できないことであった。色々な仮説が提唱されたが「大陸を動かす力」としては納得のいくものではなかった。しかし、世界各地の岩石に残された過去の地磁気の調査をおこなうと、「大陸が移動した」と考えなければ説明できない多くの事実が発見されていたが無視され続けた。
「地質年代測定に放射性元素を用いること」を発見したことで有名な英国の地質学者、アーサー・ホームズは、ヴェーゲナーの「大陸移動説」に注目していた一人であるが、1928年ヴェーゲナーの説を補完する、「大陸を動かす力」へ理論的な背景を与える「マントル対流説」を発表した。この説は地球内部、マントル上部における「熱対流」が「大陸を動かす力となっている」という説であり、「大陸が移動すること」を十分説明できるものであった。そして、その後、様々な学者によって「大陸移動説」を補完する説が数多く発表され、現代の「プレートテクトニクス」(プレート理論)へと結実していったのである。
1880年に生まれたヴェーゲナーは、冒頭記したとおり、1915年に発表した著書「大陸と海洋の起源」のなかで「大陸移動説」を主張した。しかし、現代の「象牙の塔」でもよくあることだが、ヴェーゲナーの専門は気象学であり、地質学は専門外であるということから「門外漢の説」として無視された。しかし、彼は挫けず、1919年「大陸と海洋の起源」第2版、1922年第3版、そして1929年には第4版と合計4回も出版していった。
この最後の第4版には、「すべての大陸は、古代『パンゲア』と命名した一つの巨大大陸であったが、約2億年前に分裂、移動して現在の四大陸となった」とする説を発表した。そして、その翌年1930年、大陸移動説の根拠を探すため5度目の「グリーンランド探査」に出掛けていったが、雪嵐のなか遭難、翌年5月遺体が発見された。50歳の若さであった。
先に引用した、「大陸と海洋の起源」(アルフレッド・ウェゲナー(著) 竹内 均(訳) 鎌田 浩毅(解説) 講談社(刊))」巻末の鎌田 浩毅 京都大学名誉教授の「解説」には次のような文章が続いている。
ウェゲナーが超大陸がかつて存在したことを示唆する地質学上の証拠を次々と提示したにもかかわらず、地球物理学者たちは大陸移動説を全面否定した。加えて、彼らは海底を構成する物質は非常に硬いものであると考えていた。したがって、硬い大陸が同じように堅固な海底の上を移動するアイデアは、到底承服できるものではなかったのである。
実は、大陸が漂う現象を理解するには、何千万年、何億年という地質学的な時間の長さを考慮しなければならない。すなわち、非常に長い時間をかければ、岩石のように硬い物質も、ゆっくりと流れることが可能となる。これは「レオロジー」という物質の変形と流動を扱う新しい学問だが、ウェゲナーの時代にはまだ十分ではなかった。
学界の権威として君臨していたジェフリーズらが認めないにもかかわらず、ウェゲナーは自説を曲げなかった。彼は次第に同業者から変人扱いされるようになり、大陸移動説を支持する学者が皆無になった。そして半世紀ものあいだ地球科学の表舞台から姿を消すこととなる。
3.キャプティブ設立の意義
グローバル・リンクは「キャプティブ事業」の開始以来、「地震リスクへの対応を主目的とするキャプティブ」の設立を推奨し続けてきた。
理由は、大半のリスク、つまり地震リスク以外の様々なリスクであれば、世界的にも評価の高い日本の損害保険会社であれば相応の保険料で十分に補償できる。しかし、地震リスクは、日本の損害保険会社の引受力(キャパシティ)では、企業が求める補償を十分に受けることは非常に困難であり、さらにそのコスト(保険料)はかなりのレベルとなり、「キャプティブを設立して世界的規模を有する信用のおける海外の再保険会社から引受力(キャパシティ)を得た方が、遙かに廉価な保険料で、遙かに十分な金額の地震リスクの補償を受けることができる」からである。
しかし、リスクマネジメントに先進的な一部の企業を除いて、「キャプティブ=面倒くさい=付き合いのある損保に任せた方が簡単である」ということからか、「南海トラフ巨大地震」に関する切迫した情報を政府が幾度となく発表しても、また富士山噴火の可能性に関する報道が度々なされても、キャプティブを活用してリスクマネジメントに積極的に取り組もうとする企業の数は、欧米のそれと比べると遙かに少ない。
世界に優良電機メーカーとしての範を垂れた「東芝」の構造改革に関する迷走ぶりがひどい。「これがあの東芝か」という想いを持つ企業人は筆者を含めてかなりの数に上るだろう。多くの人々が忘れているが、その「原因」は結局、「世界で勝つ製品」を持ち続けることができなかったことであり、その背景にあるものは、日本の半導体「メーカー」、そしてそれを使う「ユーザー」が、時代の先を読めなかったからである。そして、「時代の流れに、日本のメーカーは乗り遅れてしまった」からである。
その本質な背景は、昨今話題になっている「日本のメガバンクの構造改革の遅れ」に起因する。世界で勝つ製品をつくっていくためには15年、20年という時間軸を必要とするが、銀行の経営者はその時間を待つことができない。更に本質的には、その背後にある「定期的な人事異動」を基本とした日本企業の人事制度がある。
昔、筆者が大学を卒業して損害保険会社に入社した頃、日本は、「ジャパン as No.1」と評され、「日本企業は長い目で、人、製品を育てる。それに比べて米国の企業は3ヶ月ごとに株主への報告が義務づけられているので短期間での成果を追いすぎる、だからダメなんだ」と言われたものである。しかし、それから40年、「攻守ところを変えた」と言える状況になってしまったようである。
その背景、日本企業の競争力を落とし続けている「問題の核」は、「定期的な人事異動」を基本とした日本企業の人事制度である。「短期間の収益を追い続けること」を求められ続けること、そして更に肝心なこととしては「すべての社員がジェネラリスト」となり「専門家」が育たない土壌を日本企業が持っているということである。
欧米の企業には、定期的な人事異動は存在しない。全ての社員は「専門家」となりその分野でキャリア・アップをしていくことが基本である。「専門家を育てる制度」に人事制度を変えていかないと日本企業の国際競争力は、地盤沈下し続けるであろう。なぜこの点に経営者は気がつかないのかと思う。
今回のまとめ
ウェゲナーは14年間に渡り、4回も主著「大陸と海洋の起源」の改訂をおこない「大陸移動説」を叫び続けた。グローバル・リンクも今後とも「キャプティブの必要性」を声高に叫び続けていく、それがリスクマネジメントを通して日本企業の国際競争力の地盤沈下を防ぐ一助になると信じているからである。
本年2月24日ロシアがウクライナへの侵攻を開始した。ロシアは「ものの数日で首都キーウ(キエフ)は陥落できる」と考えていたが、1ヶ月以上経っても陥落できず、あれだけ大量の人員と武器を有しているにも関わらず、かえってウクライナ軍に押し戻されている。「その理由は、種々有る」という専門家の分析もあるが、武器、戦闘員いずれもロシアには遙かに及ばないウクライナが領土を守っているその理由の第一は、無論「祖国を護る」ということであるが、この侵略を予期して構築した「事前準備の巧拙」が大きく現在の戦況を決定していると考えている。
物量に任せ「怒濤の戦車軍団の前進」と号令は掛けるが、「サイバー戦」、「国際社会へのSNSを使った情宣戦略」等、いずれをとってもロシア軍の侵略行動の稚拙さだけが際立っている。
意図的とも思えるほど、米国バイデン大統領は「米国、NATOはロシアとは直接戦争行動はおこなわない」と声高に発表している。しかし、内実をよく分析してみると、ウクライナは「ロシアの侵略」の危険性をかなり前の段階から読んで、着々と、その対応の準備をしていたことが解る。
確かに「米国は『軍』として戦闘に参加していない」かもしれないが、昨年末より、秘密裏に英国、米国の一線級の多くの精鋭が「民間軍事会社」の人間としてウクライナに渡り、ウクライナ軍、民間軍事組織を訓練、さらには「軍の中枢部で作戦の指揮を執っている」というインテリジェンス報道がある。おそらく終戦になっても彼らが姿を顕すことはないだろうが、間違いなく英米軍の「枢要な部隊」が個人の資格でウクライナ軍の中枢に存在している。
もし、この「事前の準備」が実行されていなければ、ウクライナとロシアの対峙状況は大きく変わっていたであろう。ウェゲナーが主張し続けたように、ウクライナ政府の中枢にも「ロシアの侵略」を世界に、国内に叫び続け、「国全体のリスクマネジメント体制」の構築に大きく寄与した人達が存在している。
日本が、国防以外でロシアのウクライナ侵略から学ぶことは、国難とも言うべき「南海トラフ巨大地震」、「富士山の噴火」の前に「事前の準備」を的確に早急に行っていくことである。そのためには、キャプティブの設立が必須である。二度と「想定外」という言葉を企業経営者が発しないためにも早急なキャプティブへの取り組みを薦めたい。
執筆・翻訳者:羽谷 信一郎
English Translation
Risk Management (RM) 71 – Causes of earthquakes – ”Yet the continent is moving”
Humans live on land. As I remember learning in junior high school science class, “30% of the earth is land and the remaining 70% is sea”. However, unless you live along the coast, all you see in your daily life is land, and you forget that the oceans exist.
Earthquakes that cause major damage to us occur on land, but the “root force” exists in the sea. Fault-type earthquakes, which are caused by the movement of faults on land, also appear to be caused by movement only on land, but the “root force” of the movement exists in the outer shell of the earth, the plate, which the bottom of the ocean touches.
Oceanic plates such as the Philippine Sea Plate and the Pacific Plate are heavier than land-based plates and therefore sink into the land-based plates, resulting in distortion of the land-based plates. In order to resolve the distortion, the land plate rises up according to the “action-reaction law”, and the resulting earth movement is known as a “trench earthquake”. The “kinetic energy” of this plate movement also adds its force to the “faults” inside the land plate. The earthquakes that result are “fault earthquakes”. This is the “reason why earthquakes occur” as explained in plate tectonics (plate theory).
From the above, it is clear that rather than research and investigation of faults on land, research and investigation of “oceanic plates” to trace their origin is the essential approach to understanding earthquake risk, but there is one entity that does not easily allow this: the “ocean”. The “grounding plane” where the plates meet, at a depth of 6000 m or more, is called the “ocean trench”, while those below this depth are called the “trough”, but research on this ocean floor is not easy because it requires “research deep into the ocean floor”.
It is difficult to determine the details in detail, but satellite imagery, which has been developed in recent years, can give a rough idea of “where seismic risks are”.
The diagram above shows a satellite image of the Japanese archipelago. The dark blue Pacific Plate on the right side of the image touches the North American Plate, which is the base of the eastern half of the Japanese Islands, while the blue Philippine Sea Plate, which extends from the Kii Peninsula to Kyushu, touches the Eurasian Plate, the base of the western half of the Japanese Islands, with the Fossa Magna in the middle. Its boundary surface is dark blue, indicating that it is a deep sea, trench or trough.
Today, we can easily estimate the structure of the Earth using images from satellites, but at the beginning of the 20th century, when there were no satellites, there was a man who proposed the plate tectonics theory (theory of continental drift) based solely on maps, the German meteorologist Alfred Wegener Is.
1. Alfred Wegener
In secondary school and high school textbooks, due to the space available, the theory of plate tectonics (theory of continental drift) is written only as ‘Wegener came up with the idea while looking at a map of the world’. In fact, he was looking at a map of the world and noticed that across the South Atlantic Ocean, “the coastlines of the South American and African continents looked very similar, and this was the idea that gave rise to the theory of continental drift”. He first presented this theory of continental drift at the German Geological Society in Frankfurt in 1912.
However, this theory was proposed more than 100 years ago, when the Wright brothers first took to the skies in their “Wright Flyer” with a “wooden framework” and “cloth-covered wings”, let alone artificial satellites.
The book The Origin of the Continents and Oceans (Alfred Wegener (author), Hitoshi Takeuchi (translator), Hiroki Kamata (commentary), Kodansha Ltd (publisher)) shows how, more than 100 years ago, a precise theory was developed based on the best scientific data available at the time. After this initial publication, Wegener revised his theory four times, but his theory continued to be ignored by the academic community.
Even his theory of continental drift, which later became the complete theory of plate tectonics, had various theoretical evidences, such as the distribution of glaciers and geology, but the main reason for this was that people at the time thought it was impossible for the continents to move.
In the “Commentary” by Professor Emeritus Hiroki Kamata of Kyoto University at the end of the same book, the following words are found.
When you open up a world map, you can read many things about the way the earth was formed. Looking at the Atlantic Ocean, the convex part of eastern Brazil in South America appears to merge with the concave part of western Congo in Africa. Similarly, the in and out of the coasts of eastern South America and western Africa seem to be a jigsaw puzzle. Wegener’s empirical scientific focus on the fact that the coastlines of the continents across the Atlantic Ocean are similar. Not only did he realise that the “topography” was roughly the same, but also that the ‘geology’ that makes up the ground is continuous. In other words, his perspective was broadened from similarities on a two-dimensional plane to a three-dimensional subsurface structure. For example, he confirmed that the Appalachian Mountains in eastern North America are connected to Scotland and the Scandinavian Peninsula across the Atlantic Ocean, leading to the theory of continental drift.
2. from the theory of continental drift to the theory of plate tectonics
One of the reasons Alfred Wegener’s theory of continental drift did not attract much attention in the academic community was that it could not theoretically explain the ‘underlying forces that move the continents’. Various hypotheses were put forward, but they were not convincing as ‘the force that moves the continents’. On the other hand, however, investigations of past geomagnetic fields in rocks from all over the world revealed many facts that could only be explained by the idea that the continents had moved.
Arthur Holmes, the British geologist famous for discovering the use of radioactive elements in geological dating, was one of those who paid attention to Wegener’s theory of continental drift, and in 1928 he published his “mantle convection theory” to complement Wegener’s theory and provide theoretical background to the “forces moving the continents”. This theory proposed that “thermal convection” in the Earth’s interior, in the upper mantle, was the “force that moves the continents” and was a sufficient explanation for the “movement of the continents”. Subsequently, a number of complementary theories to the “continental drift theory” were published by various scholars, culminating in the modern “plate tectonics” (plate theory).
Wegener, who was born in 1880, argued for the ‘continental drift theory’ in his book “The Origin of Continents and Oceans”, published in 1915, as noted at the beginning of this article. However, as is often the case in the modern “ivory tower”, it was ignored as an “outsider’s theory”, as Wegener’s speciality was meteorology and geology was not his area of expertise. However, he was undeterred and went on to publish a total of four editions: the second edition of The Origin of Continents and Oceans in 1919, the third edition in 1922, and the fourth edition in 1929.
In the fourth and final edition, he published his theory that “all the continents were one giant continent named ‘Pangaea’ in ancient times, which broke up and moved about 200 million years ago to form the present four continents”. The following year, in 1930, he went on his fifth expedition to Greenland to search for evidence for his theory of continental drift, but was lost in a snow storm and his body was found in May the following year, aged 50.
In the “Commentary” by Professor Emeritus Hiroki Kamata of Kyoto University at the end of the book ‘The Origin of Continents and Oceans’ (written by Alfred Wegener, translated by Hitoshi Takeuchi and commented by Hiroki Kamata, published by Kodansha), quoted above, the following sentence follows.
Despite Wegener’s presentation of a series of geological evidences suggesting that supercontinents once existed, geophysicists rejected the continental drift theory entirely. In addition, they believed that the materials comprising the seafloor were very hard. Therefore, the idea of hard continents moving over an equally hard seabed was untenable.
In fact, to understand the phenomenon of continental drift, one has to take into account geological time lengths of tens or hundreds of millions of years. In other words, over very long periods of time, even materials as hard as rocks can flow slowly. This is the new discipline of ‘rheology’, which deals with the deformation and flow of matter, but it was not yet sufficient in Wegener’s time.
Despite the refusal of Jeffreys and others, who were the reigning authorities in the academic world, to acknowledge it, Wegener did not bend to his own theory. He gradually came to be regarded as a crank by his peers, and none of the scholars supported the theory of continental drift. He disappeared from the scene of earth sciences for half a century.
3. learning from Wegener
Since the inception of the Captive Project, Global Link has continued to recommend the establishment of “captives whose primary purpose is to address seismic risk”.
The reason for this is that most risks, i.e. various risks other than earthquake risk, can be adequately covered at reasonable premiums by Japanese non-life insurance companies, which have a good reputation worldwide. However, for earthquake risks, it is very difficult for Japanese non-life insurers to provide the adequate coverage required by companies with their underwriting capacity (capacity), and the cost (premiums) is substantial, so “establishing a captive and obtaining underwriting capacity (premiums) from reputable foreign reinsurers with a global scale” is recommended. The reason is that it is possible to obtain a far more adequate amount of earthquake risk coverage at a far lower premium if the company obtains capacity.
However, with the exception of a few companies that are advanced in risk management, the government has repeatedly announced imminent information about a huge Nankai Trough earthquake, and reports about a possible eruption of Mt Fuji have been ignored, perhaps because “captive = troublesome = easier to leave to the non-life insurers with whom you have a relationship”. Despite this, the number of companies that actively engage in risk management using captives is far less than in Europe and the US.
Toshiba, which has set an example for the world as an excellent electronics manufacturer, has gone astray in its structural reforms. The number of business people, including the author, who feel that ” Is this the Toshiba of the world?” is considerable. The reason for this is that semiconductor manufacturers and the users of semiconductors were unable to read the future, and Japanese manufacturers missed the boat on all fronts. The essential background to this is the recent much-discussed “delay in structural reform of Japan’s megabanks”. It takes 15 to 20 years to create world-beating products, but bank managers cannot wait that long. An even more fundamental problem is the personnel system of Japanese companies, which is based on ‘periodic personnel transfers’.
In the past, when the author graduated from university and joined a non-life insurance company, Japan was recognised as ‘Japan as No.1’, and it was said that ‘Japanese companies nurture their people and products over the long term. In comparison, US companies are obliged to report to shareholders every three months, so they pursue short-term results too much, and that’s why they are not good”. However, 40 years later, we are now in a situation where we can say that we have changed the point of attack.
The background to this, the ‘problem’ that continues to reduce the competitiveness of Japanese companies, is unequivocally this personnel system of Japanese companies based on ‘periodic personnel transfers’. The reason is that Japanese companies are continually being asked to “chase short-term profits” and, more importantly, that all employees have become “generalists” and “specialists” are not being nurtured. In Western companies, regular personnel changes do not exist. The basic principle is that all employees become ‘specialists’ and develop their careers in their field. Unless the personnel system is changed to a system that nurtures specialists, the international competitiveness of Japanese companies will continue to decline. I wonder why management does not realise this point.
Summary of this issue
Wegener revised his main book ‘The Origin of Continents and Oceans” four times over a 14-year period, and continued to cry out for a “theory of continental drift”. Global Link will continue to advocate the need for captives, as we believe this will help prevent the sinking of Japanese companies’ international competitiveness through risk management.
On 24 February this year, Russia launched an invasion of Ukraine. Russia thought that it would be able to take the capital, Kiev, in a matter of days, but after more than a month it has not been able to do so, and despite having such a large number of personnel and weapons, it has been pushed back by the Ukrainian army. Some experts analyse that there are various reasons for this, but the reason why Ukraine, which is far behind Russia in terms of weapons and fighters, is defending its territory is, of course, that “protecting the motherland” is the most important “strategic point”, but “poor advance preparations” made in anticipation of this invasion are also a major factor. I believe that the current war situation is being determined.
The Russian military’s aggressive behaviour is poor in every respect, including “cyber warfare” and “propaganda strategies using social networking services to the international community”, although it is left to its own resources and calls for the “advance of a surging tank army”.
As if by design, US President Biden has announced loudly that “the US and NATO will not engage in direct war action with Russia”. However, a closer analysis of the facts reveals that Ukraine had read the danger of a Russian invasion long before and was steadily preparing to respond to it.
It is true that “US troops may not be taking part in the fighting”, but there are reports that since the end of last year, in secret, many top-class elite from the UK and the US have travelled to Ukraine as members of ‘private military companies’, training Ukrainian troops and private military organisations, and even “taking command of operations in the military centre”. While they will probably not be visible at the end of the war, there will undoubtedly be “pivotal units” of the Anglo-American military present at the heart of the Ukrainian military in their personal capacities.
If this “advance preparation” had not been carried out, the situation of confrontation between Ukraine and Russia would have been very different. As Wegener continued to insist, I believe that there are people at the heart of the Ukrainian Government who have been shouting “Russian aggression” domestically to the world and who have contributed significantly to the establishment of a “country-wide risk management system”.
One thing we can learn from Russia’s invasion of Ukraine is that we must accurately and promptly make “advance preparations” before the “Nankai Trough Giant Earthquake” and the “eruption of Mt. To this end, the establishment of a captive would be essential, and I would like to recommend the immediate establishment of a captive to prevent corporate managers from ever uttering the words “unexpected” again.
Author/translator: Shinichiro Hatani