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リスク対応策 2020.02.16

RM 11 「まさか、想定外」(牛丼)”Unexpected” (beef bowl)

For those who prefer to read this column in English, the Japanese text is followed by a British English translation, so please scroll down to the bottom of the Japanese text.

この2月6日、野党の国会議員が「牛丼は体に悪い」などとツイッターに投稿、後に謝罪した騒動があったが、その牛丼に関連して、今から17年前2003年12月、多くの方の記憶にはもうほとんど残っていないであろうが、米国農務省によって大きなニュースが発表された。「BSEに感染した成牛をワシントン州で発見」と。

牛丼に使用する牛肉の99%を米国から輸入していたある大手牛丼屋チェーンにとっては、その後日本政府がおこなった米国産牛肉の輸入停止処分は、牛肉の輸入再開を前提とした「期間限定」とはいえ、輸入停止が続くようであれば、「牛丼」の販売停止、代替商品の販売と、経営に大きな課題を突きつける事態になる恐れがあった。

この報道に対して、同社社長はある雑誌のインタビューでこう答えていた。

「企業を経営するうえで、リスクが発生することは、いつも想定しています。しかし、今回のケースは、通常のリスクマネジメントの範疇ではありません。緊急事態です。

正直、BSEについては、私は楽観していたところがありました。米国で牛の口蹄疫(牛や豚、羊などがかかるウイルスによる急性の伝染病)が蔓延して、米国産の牛肉が使えなくなるかもしれないとは考えていました。しかし、まさか肉が輸入できなくなるとは思ってもみませんでした」

そして「牛丼」の販売停止が決定された。

「通常のリスクマネジメントの範疇ではありません。緊急事態です」と、「リスクマネジメントは通常起きそうなことを含めてリスク全般を想定、予測、検討する作業である」ということが全く理解されておらず、また「まさか」と、東日本大震災の時「想定外」と発言した電力会社幹部と同じ発言であった。

現場仕事ではない経営こそ、想定外のことを想定していく使命がある立場ではないか」と感じた記事であった。筆者が、「リスクマネジメントは企業戦略の要」と主張する理由がここにある。

1.リスクマネジメントより販売を優先

米国産牛肉の輸入停止処分は、確かに「緊急事態」である、しかし「予想できない事態」であっただろうか。「口蹄疫」を予想されているのだから、「万が一の事態」として、「米国産牛肉が輸入停止になること」は「予想できない事態ではなかった」はずである。むしろ、そのインタビュー記事の表題にあった「豪州産では味を出せぬ」という言葉とともに読むと、「販売戦略」と「リスクマネジメント」の狭間で揺れるその苦しい胸の内が読み取れる。

しかし、結果として「企業経営においてリスクマネジメントより販売を優先することは、後にどのような結果をもたらすか」を世に指し示すことになったのである。

2.リスクマネジメントとは

ここで、これまでのコラムのなかで、かなりの回数使ってきた「リスク」という言葉を改めて考えてみたい。多くの人がこの「リスク」という言葉を使う。「危険」、「危機」等、日本語訳はあるが、しかし、「リスク」とは一体何だろうか。また、「リスクマネジメント」とは何だろうか。

「リスクマネジメント」という表題のついた本は、大きな書店に行けば、数多く見受けられる。パラパラと捲ると、そのどれもがカタカナだらけのページばかりである。「当社もリスクマネジメントを真剣に検討しなければならない時代に差し掛かった、ひとつ君検討してみてくれ・・」、こう言われて、図書館、書店に行ったものの、その数が多くて、「さてさて、どれから読んだらいいのか、またどのくらい読めばいいか」、そう悩んだ方も多いのではないだろうか。

「自己紹介をしてみてください」、そう言われてドギマギはしても、「名前、生年月日、出身地・・・」、こう話していくと自分のことは説明できる、つまり「定義」はできる。しかし、「リスク」そのものをそのように定義することは難しい。

事実、「リスクとは」と言われて、「こうです」と答える「おおまかな定義」はあっても、「自分を特定する」ように説明するのは難しい、それこそ「本一冊」が必要となる。その理由は、日本語と英語、それぞれの言語が定義する「概念の広さの違い」があるからである。つまり、「リスク」や「リスクマネジメント」に関して、「広く統一した日本語の定義」は存在しないのである。

したがって、「リスクは『危険』ではなく『リスク』」、また「リスクマネジメントも『リスク管理』ではなく『リスクマネジメント』」とグローバル・リンクでは定義しているのである。

3.リスクの定義は

「リスクマネジメント」は米国で発展してきた概念である。一つの範を米国のリスクマネジメント団体、RIMS (リムズ:リスク・保険管理者協会:Risk and Insurance Management Society, Inc.) にとってみよう。その用語集には、「リスク」とは「①損失または損失を生じさせることがある潜在危険の可能性を筆頭に「②損失の可能性または機会・・」等9つの定義が示されている。

総じて見ると、「リスクとは普段は目に見えない潜在的なモノであり、あるとき何かを引き金にして顕われてくる」と言うことができるであろう。突如どこからか、「何かがふっと」現れるようなもの」、しかし「何も無く」顕われるのではない、必ず「何かを媒介」にして顕われる存在が「リスク」である。

4.リスクへの鋭敏な感性

その「顕われそうなもの」、「それを媒介するモノ」、「その結果」、「その対応策」等、これらを分析、検討していくことが一般的に「リスクマネジメント」といわれているものである。「顕われそうなもの」を「予期する」のであるから、当然、この作業にはその人の「感性」が大きく関わってくる。

人によっては「白い布が揺れた」、別の人間は「幽霊が出た」、「事象に対する取り様」は千差万別である。しかし、単なる「夏の夜の出来事」と違い、それが企業であれば、その「事象」に対する認識の度合いは、企業経営にプラスにもマイナスにも大きな影響を与えることになる。

したがって、「リスクマネジメント」では、この企業経営に大きな影響を与える存在である、「リスク」を如何に的確かつ正確に分析していくか、それが、その後のすべての成否を分けることになると言える。しかし、ここに困った問題が、実は存在するのである。

時とともに、次々と新しい「リスク」が増えているのである。だからこそ、その「未知の可能性」さえも予見する「鋭敏な感性」が問われる作業が「本物、本格的なリスクマネジメント」なのである。

5.米国の変化とキャプティブの進展

また、さらに大切なこととして、「リスクマネジメント」の対象事態には、「通常」も「非常」もないということを認識することである。

「リスクマネジメント」が発展してきた米国では、「アメリカ同時多発テロ事件」が起きた2001年9月11日以降、政府として、どのような「リスクマネジメント」をおこなってきているか、それを報道で見聞きするにつけ、その「リスク洗い出し、対応、排除等」の徹底ぶりこそ、「リスクマネジメント」の最も大切なポイントであると考えている。

中国で発生した「新型インフルエンザ、コロナウイルス」への対応でも大変厳しいリスク対応がなされていることを見ても、厳しいリスクマネジメントの継続がなされていることが裏付けられていると感じている。

筆者が、米国の損害保険会社のキャプティブ部門に配属されていたときは、キャプティブを活用する企業は、世界的に著名なグローバル企業ばかりで、キャプティブ活用の裾野の広がりを感じることはなかった。しかし、米国では、この2001年を境にして、「一般の損害保険会社が受けたがらないリスクを再保険会社と連携して引き受ける、キャプティブを設立する企業が急増してきたという状況」がある。このことからも、この大変悲惨な大事件を機に米国では、リスクマネジメントが、質の点でも、更に大きく進展しているといえよう。

今回のまとめ

損害保険会社が、引受については一般的に後ろ向きになるリスクに対しても、キャプティブを設立、活用して、引受技術に定評のある世界的な再保険会社と連携することにより、それらのリスクを引受けられる可能性が出てくる。これこそが、リスクマネジメントの真骨頂であり、キャプティブを持つ最高の効用である。

しかし、そのキャプティブは、本物のリスクマネジメントのためものでなければならない。リスクマネジメントではない、「間違った使い方」をすると、いずれ企業経営に大きなマイナスの力が掛かることになるからである。

だからこそ、グローバル・リンクは適格、適正なキャプティブの設立、運営管理コンサルティングを主唱してきたのである。その「ソリューション・キャプティブ®」であれば、設立のメリットを最大化することができ、企業の収益拡大に大いに寄与する存在になると考えるからである。

執筆・翻訳者:羽谷 信一郎

English Translation

Risk Management 11 – “Unexpected” (beef bowl)

This past February 6, there was an uproar in relation to the beef bowl, in which an opposition member of parliament posted on Twitter that “beef bowl is bad for you” and later apologized for it. On February 6, 2003, I’m sure few of you remember anymore, but it was announced by the U.S. Department of Agriculture that adult cattle were found to be infected with BSE in Washington State.

For a major chain of gyudon (beef bowl) restaurant that imported 99% of its beef from the US, the subsequent suspension of US beef imports by the Japanese government was a “limited period” that was premised on the resumption of beef imports, but if the suspension of imports continued, the company was in danger of posing a major challenge to its business, including the suspension of sales of “gyudon” and the sale of alternative products.

In response to this report, the company’s president told a magazine in an interview.

“In running a company, we always expect risks to arise. However, this case is not within the scope of normal risk management. It’s an emergency.

I have to admit, I was a bit optimistic about BSE. I did think that foot-and-mouth disease in cattle (an acute epidemic caused by a virus that affects cattle, pigs, and sheep) could spread in the United States and make U.S. beef unusable. But we never thought that we would be unable to import beef from the U.S.”

Then the decision was made to stop selling the “beef bowl”.

He said, “this is not a normal category of risk management. It’s an emergency.” There is no understanding that risk management is the process of assuming, predicting and examining risks in general, including those that are normally likely to occur.

Which is the same sort of comments that the “No way,” and “it was unexpected” ,which is said by a power company executive at the time of the Great East Japan Earthquake.

The article made me feel that management, which is not part of the field, is in a position to assume the unexpected. This is why I believe that risk management is the key to corporate strategy.

1. Prioritizing Sales over Risk Management

The suspension of imports of US beef is indeed an “emergency”, but was it an “unforeseeable situation”? Since foot-and-mouth disease has been predicted, it should have been “not unexpected” that “imports of US beef would be suspended” as a “contingency”. Rather, if you read it together with the title of the interview, “Can’t Produce a Taste of Australian Beef,” you can understand the painful tension between “sales strategy” and “risk management” in the company’s heart.

As a result, however, it showed the world the consequences of prioritizing sales over risk management in corporate management.

2. What is risk management?

I would like to revisit the word “risk”, which I have used quite a few times in my columns so far. Many people use the word “risk”. There are Japanese translations of the word, such as “danger” and “crisis,” but what exactly is the word “risk”? What is risk management?

If you go to a large bookstore, you will find many books with the title “Risk Management”. If you flip through them, you will find pages full of katakana characters (western language). “It’s time for us to take a serious look at risk management.” This being said, many of you may have gone to the library or bookstore, but there are so many of them that you may have wondered, “Well, which one should I start with, and how much should I read?”

If you say, “Please introduce yourself,” you may get a bit dodgy when someone says that, but if you talk about your name, your date of birth, where you’re from…, you can explain yourself, or in other words, you can “define” yourself in this way. However, it is difficult to define “risk” itself in such a way.

In fact, when someone asks you what risk is, you may have a rough definition, but it is difficult to explain it in a way that identifies you, and that requires a book. The reason for this is that there is a difference in the breadth of the concepts defined in Japanese and English. In other words, there is no widely unified Japanese definition of risk and risk management.

Therefore, Global Link defines “risk” as “risk” rather than “danger” and “risk management” as “risk management” rather than “risk control”.

3. The definition of risk

“Risk management” is a concept that has been developed in the United States. Let’s take one example from the Risk and Insurance Management Society, Inc. (RIMS), a risk management organization in the U.S. The RIMS glossary states that the word “risk” has nine definitions including “(1) the possibility of potential risk that may cause loss or damage” and “(2) the possibility of loss or opportunity for loss…”.

In general, it can be said that “risks are potential risks that are usually invisible and appear when something triggers them. It is not something that suddenly appears out of nowhere, but rather something that is mediated by something”.

4.A keen sensitivity to risk

The process of analyzing and examining what is likely to appear, the things that mediate it, the consequences, and countermeasures is generally referred to as risk management. Since the process involves anticipating what is likely to appear, a person’s sensibility plays a major role in this process.

One person may say, “A white cloth was shaken,” while another person may say, “A ghost appeared,” and so on. However, unlike a mere “summer night”, if it is a company, the degree of awareness of the event will have a significant impact on the management of the company, whether it is positive or negative.

Therefore, in risk management, the degree to which we accurately and accurately analyze the risks that have a major impact on corporate management will make the difference between success and failure in everything that follows. However, this is where the problem lies.

As time goes by, new “risks” increase one after another. This is why authentic and authentic risk management requires a keen sensitivity to foresee even the unknown possibilities.

5. Changes in the United States and the progress of captives

More importantly, it is important to recognize that there is neither “normal” nor “emergency” in risk management.

In the United States, where risk management is well developed, we have seen and heard news reports about the government’s risk management practices since September 11, 2001, the day of the 9/11 terrorist attacks in the United States, and we believe that the most important aspect of risk management is the thoroughness with which it identifies, responds to, and eliminates risks.

The fact that the response to the outbreak of the new strains of influenza and coronavirus in China was also very severe proves that strict risk management is still being carried out.

When I was assigned to the captive division of a U.S. property and casualty insurance company, the only companies using captives were world-renowned global companies, and I did not feel that the base of captive use was broadening. However, in the United States, since 2001, we have seen “a surge in the number of companies establishing captives to work with reinsurers to underwrite risks that ordinary property and casualty insurers are unwilling to take on. It can be said that this tragic event has led to further significant progress in risk management in the United States, both in terms of quality and quality.

Summary of this issue

By establishing and leveraging captives and working with a global reinsurer with a strong reputation for underwriting technology, property/casualty insurers have the potential to underwrite risks that they would typically take a back seat to. This is the essence of risk management and the best benefit of having a captive.

However, the captives must be used for real risk management. If the captives are not used in risk management, they will eventually have a negative impact on the management of the company.

This is why Global Link has been an advocate of establishing qualified and appropriate captives and providing operational management consulting. We believe that a Solution Captive® will maximize the benefits of establishing a captive and contribute greatly to increasing a company’s profitability.

Author/translator: Shinichiro Hatani