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リスク対応策 2020.02.23

RM 15 保険の「補償の穴」The “coverage hole” in insurance

For those who prefer to read this column in English, the Japanese text is followed by a British English translation, so please scroll down to the bottom of the Japanese text.

ロイズ(Lloyd’s of London)のシンジケート(引受保険会社)の最高幹部でもある長年の友人が来日、羽田に出迎えた。「さあ、晩ご飯は何食べようか」と尋ねたら、「ありがとう、でも今日はFast(ファースト)だから、明日の朝まで何も口に入れられない」と大きな身体をすまなさそうに屈めた。

1.断食

「Fastって、え、あっ、断食のこと?」、イスラム教の国には「ラマダン」があり、1ヶ月間夜明けから日没まで断食が行われることは知っていたが、まさかユダヤ教徒の彼も同じようなしきたりを持つとは知らなかった。「明日の朝まで・・」、「あっそうか、だからか、FastをBreakするからから、『朝ご飯』のことをBreakfast(ブレックファースト)と言うのか」と気がついてふと尋ねると、「なるほど、そうだね」と英国人の彼が納得したように微笑んだ。

日本では「ご飯」の前に、朝、昼、晩と食べる「時」を付けて食事を表すが、英語ではBreakfast(ブレックファースト)、Lunch(ランチ)、Dinner(ディナー)と個別の呼び名を持つ。実はディナーも古フランス語の「断食を止める」が語源である。日本の食事の呼び名に宗教的な意味合いが無いのは、宗教的な「断食」の背景が日本には広く存在しなかったからであろう。

食事の呼び名であればいいが、企業経営に直接結びつく場合、我々にとって「その本来の意味を理解すること」は、非常に重要である。欧米流の企業経営手法を導入しても、彼らの精神的な主柱である思想的、宗教的な背景も含めて理解しなければ、その言葉の真に意味するところは解らないからである。

2.ミッション

Mission(ミッション)という言葉がある。企業経営で使う場合、企業と利害関係にある株主, 取引先, 経営者, 従業員等すべてのステークホルダーに向けて「企業が進むべき途」を自らが表明する言葉である。いわゆるミッション・ステートメントである。

日本語では「社訓」と訳されている場合が多い。「訓」とは旁(つくり)に「川」があるとおり、「流れる川のように、言葉で正しい道へ教え導くことを表す」言葉である。しかし、「新グローバル英和辞典(三省堂刊)」には、Missionの意味が概ね次のように記されている。

1.外国への政府の使節団、代表団
2.在外大(公)使館
3.使節の任務、使命
4.自己の信ずる使命、天職
5.特殊任務、作戦、空軍の出撃、宇宙船の飛行任務
6.伝道者の派遣、伝道、布教、伝道事業
7.伝道団、宣教師団、社会事業団
8.専任の牧師がいない伝道用の教会、伝道施設

「派遣、送る」という意味が語源であるが、「危険と隣り合わせた未開の地へ、ある使命を持ったヒト、モノを送り出していく」ということがその本来の意味であることが解る。外国語の概念を導入する場合、日本語訳ではなく原語が持つ他の様々な意味を理解しなければ、その本来の意味を間違って受け止めてしまう可能性がある。

そう理解できると、このミッションは「社訓」ではなく、むしろ「何かを切り開いていく概念」であることが推察される。「社訓」となると受動的に捉えられるが、そうではなく「能動的に自らの信じる路を切り開いていくために自らが課した使命」であり、会社としては、「会社の使命」がミッションの訳語としてはより適切であろう。

3.会社法

2015年5月27日に施行された「会社法の一部を改正する法律案」において、新たに「監査等委員会設置会社」が導入されたが、この「会社法」は、今から15年前、2006年5月1日施行された法律である。当時、「新会社法」の文字が各メディアに躍ったが、従来「会社法」という法律は存在していなかったため、「新会社法」ではなく、「新たに会社法が・・を簡略化した報道」と受け止める方が正確であろう。

「商法第2編、有限会社法等、会社に関する法律の総称」が「会社法」のもととなったものであるが、1889年(明治32年)に制定されたこの商法が現代の様々な状況の進展に対応できなくなり、「会社に関係する法律」を統合、再編成、そして現代化して「会社法」という法律を制定したのである。

当時、企業の不祥事が後を絶たなかったことが、その制定のスピードを速めさせたといわれている。なぜ、そうした不法行為がまかり通ってしまうのか、その要因の一つが組織内のチェック体制の甘さであったことは論を待たないであろう。高度成長期に「雇用の安定」という別目的が主で始まった終身雇用制、つい最近まで長い間、それを維持してきた日本の企業では、社員は自分が勤める企業を「うち(内・家)」と言うように、「組織は身内」であり、厳しい管理・監視体制を敷いてこなかった。

しかし、バブル崩壊以降、リストラという言葉も広く使われるようになり、また人材の採用・勤務形態も流動化してきて、そこに、新しいリスクが生まれてきたのである。その新たなリスクに対する「解(ソリューション)」として、最近では、「内部統制」と訳されることも多くなった「コーポレート・ガバナンス」が重要な役割を占めるようになってきた。

このため、会社法では従来コンプライアンスと呼ばれてきた概念よりも、更に広い情報管理や危険管理(リスクマネジメント)も含む「業務の適正化を確保するための体制」を企業に求めるようになった。会社法施行規則第100条には、それが次のとおり定義されている。

1.取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
2.損失の危険の管理に関する規程その他の体制
3.取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
4.使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
5.当該株式会社並びにその親会社及び子会社から成る企業集団における業務の適正を確保する                    ための体制

 

更に、銀行の不良債権問題を背景に、上場企業に内部統制の体制整備を強く求める、通称「日本版SOX(サーベインズ・オクスリー)法」、「金融商品取引法」が施行され、2008年3月期に本決算を迎えた上場企業及びその連結子会社に適用が開始された。この矢継ぎ早の法整備の背景には、エンロン事件やワールドコム事件等によって失墜した米国株式市場の信頼回復にSOX法が果たした役割が大きかったということが挙げられる。

もう一つの重要な側面も見逃してはならない。「証券取引のグローバル化」である。当時、外資系を中心とする投資ファンドが日本に続々と進出、「ハゲタカ」と呼ばれ新聞紙上を賑わしたものである。日本の企業への投資を進めていくためには、欧米と同様の基準での企業情報の開示、「彼らの視点でのコーポレート・ガバナンス」が必要であった。翻ってみれば、法的な整備、内部統制の整備は外資を中心とした企業、ファンドの買収の標的になりやすい環境を提供することにもなったのである。

4.保険に潜むリスク

こうして、企業にとって、また役員にとって、また「外資による買収」という新たなリスクが産み出されたのである。そして結果、企業の舵取りを任される役員の資質と役員を守る、「様々な企業向け保険が一層重要性を増す時代」に突入したと言えよう。

しかし、その企業向け保険にも様々な補償上の制約が存在する。例えば、コーポレート・ガバナンスにかかわるオペレーショナルリスク、そのメインリスクである「内部の不正」に対する「保険」として提供されているものに「身元信用保険」がある。

この英文名は「Fidelity Bond」となっている。保険の英文名は、Bondではなく、InsuranceもしくはAssuranceである。Bondは「保証」であり「保険」ではない。この「保険と保証の違い」は欧米では明確にされているが、日本では明確にされていない。そして、この言語の違いに「保険に潜む大きなリスク」が存在するのである。

身元信用保険の商品説明書等には、「数億円を超える企業内不正の事例」が紹介されていることが多い。先に「保険にもリスクがある」、その代表が「免責(保険金を支払わない場合)」と述べたが、身元信用保険では「保険期間の末日から1年が経過した後に発見された不誠実行為には保険金を支払わない」(普通保険約款第3条(保険金を支払わない場合)(1)の⑦)とある。

企業に大きな影響を与える数億円単位の事案は、概ね数年、長いものでは10年を超えた不誠実行為によるものがほとんどである。「保険」は更改していけば、「補償期間は延びていく」が「保証にその概念は無く保証期間は最大1年」なのである。果、補償されると思って保険に入ったにもかかわらず、いざ起きてみたら「数億円を超える大きな金額の企業内不正の事例の大半は補償されない可能性が高い」のである。

今回のまとめ

保険商品に存在する「補償の穴」が正しく理解されずに保険を掛けていて、「『保険事故』と思われる損害が発生したとき」に補償の対象にならないことがある。企業経営に大きな影響を与えかねないこのようなことを具に検証していく必要がある、それが本物のリスクマネジメントである。

単に、リスクと保険を整合させるのはリスクマネジメントではなく、ただの「保険導入=販売」である。保険会社、保険代理店がおこなってくれたリスクマネジメントがリスクマネジメントではなく、「ただの保険を掛けること」になり、「損害が発生」してみて初めて、「保険が掛かっていると思ったが保険免責だった」と、何度か相談を受けた。単なるリスクマネジメントではなく、本物のリスクマネジメントが求められる所以がここにある。

発見した「補償の穴(ホール)」をそのままにせず、保険会社が補償を提供できないのなら、「海外の先進的な保険の補償枠」を再保険の手段によって獲得してキャプティブを設立することができれば「補償の穴(ホール)」が塞がり、企業経営に甚大な損害が発生するリスクをヘッジできる。それをグローバル・リンクではソリューション・キャプティブ®と定義しているのである。

執筆・翻訳者:羽谷 信一郎

English Translation

Risk Management 15 – The “coverage hole” in insurance

A long-time friend of mine, who is also a top executive of a Lloyd’s of London syndicate, came to Japan and I welcomed him to Haneda. When I asked him what he wanted to eat for dinner, he said, “Thank you, but I can’t eat anything until tomorrow morning because it’s Fast today,” he said, bending his large body with a regretful smile.

1. Fasting.

‘Fast, oh, you mean fasting?” I knew that Muslim countries have a Ramadan and they fast from dawn to dusk for a month, but I didn’t know that he, as a Jew, had the same kind of tradition. I said, “Until tomorrow morning…” “Oh, so that’s why they call it ‘breakfast’ because they break Fast.” The Englishman smiled and said ,”I see” as if he was convinced.

In Japan, the word “rice” is prefixed with “time” to indicate the time of the meal, such as morning, noon and evening, but in English, the word is called “Breakfast,” “Lunch” and “Dinner”. In fact, dinner is also derived from the Old French word “stop fasting”. The reason why Japanese names for meals do not have religious connotations is probably because there was no widespread religious “fasting” background in Japan.

As long as it is a name for a meal, it is fine, but when it is directly related to the management of a business, it is very important for us to understand its original meaning. This is because the true meaning of Western business management techniques cannot be understood without an understanding of their main spiritual, ideological and religious background.

2. Mission

There is the word “mission”. When used in corporate management, it is a word that expresses “the way forward” for the company to all stakeholders, such as shareholders, business partners, management, and employees. It is a so-called mission statement.

In Japanese, it is often translated as “sha kun (company motto)”. As the word “kun” out of “sha kun” is composed of two parts,”gen” and “river”, which means and “kun” means “a word that represents, like a flowing river, teaching and guiding with words to the right path.” The New Global English-Word Dictionary (Sanseido), however, describes the meaning of “mission” as follows.

1. a government mission or delegation to a foreign country
2. a foreign embassy
3. the mission and mission of the envoy
4. The mission and vocation you believe in
5. special missions, operations, air force sorties, and spacecraft flight missions
6. dispatch of evangelists, evangelism, missionary work, and evangelistic projects
7. Missions, missionaries, and social services
8. evangelistic churches and evangelistic facilities without a full-time pastor

The word is derived from the meaning of “to dispatch or send,” but it is clear that the original meaning is “to send out people and things with a mission to an uncharted area that is in danger”. When introducing a foreign language concept, unless one understands the various other meanings of the original language rather than the Japanese translation, there is a possibility of misinterpreting its original meaning.

If this is understood in this way, it can be inferred that this mission is not a “company motto” but rather a “concept that opens up something new”. The word “corporate philosophy” is taken as a passive way of thinking, but it is more like a mission that the company imposes on itself in order to actively create a path that it believes in.

3. Companies Act

The “Companies Act” was enacted 15 years ago, on May 1, 2006, when a bill to partially amend the Companies Act came into effect on May 27, 2015, introducing a new “company with an audit committee”. However, since there was no such thing as a “Companies Act” in the past, it is more accurate to say that the new Companies Act is a simplified version of the “Companies Act newly is born…” rather than the new Companies Act.

The Commercial Code of Japan, Part 2 of the Commercial Code, and the Limited Company Act, etc., were the basis for the Company Act.When the Commercial Code, enacted in 1889, could no longer keep up with the various developments of today, the laws “relating to the company” were consolidated, reorganized, and modernized to form the Company Law.

It is said that the speed of enactment of the law was accelerated by the fact that corporate scandals were rampant at the time. There is no doubt that one of the reasons why such illegal activities were so common was due to the lack of a system of checks and balances within organizations.

The system of lifetime employment, which was introduced during the period of high economic growth mainly for the purpose of “job security,” which until recently Japanese companies that have maintained this system for a long time have not put in place a system of strict control and monitoring, because the organization is their family, as employees call the company they work for “home”.

However, since the bursting the bubble economy, the term “restructuring” has been widely used and the recruitment and working patterns of personnel have become more fluid. As a solution to these new risks, “corporate governance,” which has recently come to be often translated as “internal control,” has come to play an important role.

For this reason, the Companies Act now requires companies to have “systems to ensure proper business operations” that include information management and risk management, which are much broader than the concept traditionally called compliance. Article 100 of the Ordinance for Enforcement of the Companies Act defines it as follows:

(1) System for the preservation and management of information related to the execution of duties by directors
(2) Rules and other systems for managing the risk of loss
(3) System to ensure that directors execute their duties efficiently
(4) System to ensure that the execution of employees’ duties complies with laws and regulations and the Articles of Incorporation
(5)System to ensure the appropriateness of operations of the corporate group consisting of the stock company and its parent company and subsidiaries

Furthermore, against the backdrop of the banks’ non-performing loan problem, the Japanese Sarbanes-Oxley (SOX) Law, commonly known as the Financial Instruments and Exchange Law, which strongly requires listed companies to develop internal control systems, was enacted, and this law began to apply to listed companies and their consolidated subsidiaries whose fiscal year ended March 2008 saw the closing of their books. One of the reasons for this rapid development of legislation is that the SOX Act played a major role in restoring confidence in the U.S. stock market, which had been damaged by the Enron and WorldCom scandals.

Another important aspect of the law should not be overlooked. This is the “globalization of securities trading”. At the time, investment funds, mostly foreign-owned, were making inroads into Japan in rapid succession, and were often referred to as “Hagetaka(vultures)” and made headlines in the newspapers. In order to promote investment in Japanese companies, it was necessary to disclose corporate information on the same basis as in Europe and the U.S., and to have “corporate governance from their perspective”. On the other hand, the development of legal and internal control systems also provided an environment that made Japanese companies, especially those with foreign capital, an easy target for acquisitions by funds.

4. Hidden Risks in Insurance

This has created a new risk for companies and their directors and officers: a foreign takeover. As a result, we have entered an era in which various types of corporate insurance policies are becoming increasingly important to protect directors and officers and their qualifications to steer their companies.

However, there are a number of restrictions on corporate insurance policies. For example, there is “Fidelity Bond” that provides insurance against operational risks related to corporate governance, the main risk of which is “internal fraud”.

The name in English is “Fidelity Bond”. The name of the insurance is not “Bond”, but “Insurance” or “Assurance”, where Bond is a guarantee, not an insurance policy. This “difference between insurance and guarantee or warranty” is made clear in Europe and America, but not in Japan. And there is a “big risk in insurance” in this difference in language.

Product descriptions of Fidelity Bond often introduce “cases of corporate fraud exceeding hundreds of millions of yen”. Earlier, it was mentioned that “Insurance also has risks”, the representative of which is “exemption from liability (in the case of non-payment of claims)”, but under Fidelity Bond, “no claims shall be paid for dishonest acts discovered after one year from the end of the insurance period” (vii) of Article 3 (In the case of non-payment of claims) of the ordinary insurance policy clause (1)).

Most of the multi-million dollar cases that have a significant impact on companies are due to bad faith acts that generally last several years, and in some cases longer than 10 years. As for the “insurance”, if it is renewed, “the period of coverage will be extended”, but “there is no such concept in the warranty and the maximum period of coverage is one year”. As a result, there is a high possibility that most of the cases of fraud in the company with a large amount of money over hundreds of millions of yen are not compensated in spite of the fact that they are insured in spite of the fact that they thought they were compensated.

Summary of this issue

There are times when the holes in insurance products are not properly understood and insurance policies are not covered when the damage is considered to be an “insured accident”. This kind of situation, which can have a great impact on the management of a company, needs to be examined in detail, and that is the real risk management.

Simply aligning risk and insurance is not risk management, it is just “introducing insurance = selling”. We have been consulted several times that the risk management performed by insurance companies and insurance agents is not risk management, but rather “just purchasing insurance”, and only after the loss occurs, the insurer says that they thought they were insured, but the insurance was waived. This is the reason why real risk management, not mere risk management, is required.

If the insurance company is unable to provide coverage, the “holes in coverage” found can be closed and a captive can be established by obtaining advanced overseas insurance coverage through reinsurance, the “holes in coverage” can be closed and the risk of serious damage to the business can be hedged. That’s what we at Global Link® define as a Solution Captive®.

Author/translator: Shinichiro Hatani