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運営実務 2020.02.12

運営実務 3 ー フェーズ2(第2段階:キャプティブの設立)



ドミサイルからのキャプティブ「設立認可」が正式に決定されると、キャプティブ設立(フェーズ2)に進む。

キャプティブを設立する親会社(以下「オーナー」という)は、「現地の有資格専門者・社」の中核となる現地のキャプティブ・マネジメント会社(以下「キャプティブ・マネジャー」という)、キャプティブ法務の現地代理人となる法律事務所、キャプティブのメインバンクを選定する。その後、キャプティブ・マネジャーは、キャプティブの運営に必要な保険数理人(アクチュアリー)、監査担当会計事務所、税務担当会計事務所など、キャプティブ経験が豊富な「現地の有資格専門組織」をオーナーに推薦して、現地でのキャプティブ運営体制を整える。

一方、ドミサイルの保険監督当局からキャプティブ保険会社の営業認可を受けるために、当局が要求する情報を網羅した、ハワイ州であれば200ページにのぼる「キャプティブ設立申請書(Application Package)」をキャプティブ・マネジャーが中心となって作成、担当法律事務所と連携して当局に提出する。

設立申請に対して保険監督当局からCOGG(Certificate of General Good:キャプティブの適切性に関わる当局の認証)を取得したら、キャプティブ保険会社の法人登記、資本金の払込を行ない、営業許可証明書の交付を受けて、キャプティブの設立が完了する。

キャプティブの設立が完了したら、元受保険契約および再々保険契約を締結してキャプティブが保険引受を開始することになる。

以下、「フェーズ2(第2段階:キャプティブの設立)」の概要と留意点を記す。

1.キャプティブの営業開始までの主なステップ

①キャプティブ設立申請
ドミサイルの保険監督当局に申請する。

米国ハワイ州の場合、申請書類には、以下の書類が含まれる。

キャプティブ保険会社申請書: キャプティブのClass、所在地、オーナー、キャプティブの取締役・執行役員、キャプティブ運営に携わる専門組織等
キャプティブのオーナー等に関する追加情報: 含、元受保険契約
フィージビリティ・スタディ: 損害率が50%、90%の場合の今後5年間のBS/PLシミュレーション
キャプティブ事業戦略: キャプティブ名称、営業開始予定日、決算日、会計帳簿の保管地、取引銀行、元受・レトロ保険プログラム等
キャプティブ設立申請者経歴書: 設立申請のため宣誓供述者としてのオーナー、キャプティブ・マネジャー、保険数理人の経歴
支払準備金証明申請書: 支払準備金証明に関わる保険数理人の申請書
独立会計士申請書: キャプティブの監査業務を担当する独立会計士の申請書
キャプティブ・マネジャー申請書: キャプティブ・マネジャーの申請書
アクチュアリー分析報告書: 保険数理人による保険数理分析の報告書
キャプティブのオーナー会社の財務諸表:
オーナー会社の取締役会によるキャプティブ設立についての決議書の写し:
会社定款、付随定款の写しまたはドラフト:

 

なお、ハワイ州のキャプティブ申請手数料は$1,000、キャプティブ営業許可証(ライセンス)発行手数料は$300である。

②COGG取得
設立申請が承認されたら、COGG(Certificate of General Good)が交付される。これは、「キャプティブ設立に向けて、この先のステップに進んでもよい」との当局の認証である。

③法人登記、銀行口座開設
COGGの取得から30日以内に法人登記を行ない、銀行口座を開設する。口座開設後、オーナーが資本金を振り込む。

④営業許可証明書の交付、キャプティブ設立の完了
資本金着金後、銀行口座残高証明書を保険局に提出し、「営業許可証明書(Certificate of Authority)」が交付されると、キャプティブの設立が完了する。

⑤キャプティブの営業(保険引受)の開始
営業許可証明書写しを元受保険会社に提出する。元受保険会社内では、キャプティブ出再を前提とする保険契約引受に関わる社内申請が行なわれ、保険引受が決定・開始される。

2.キャプティブ運営に関わる現地専門家

①現地キャプティブ・マネジメント会社
現地キャプティブ・マネジメント会社は、保険監督当局から許可を受けてキャプティブの運営・管理において「キャプティブ・マネジャー」として中心的な役割を果たす。米国ハワイ州においては、当局にキャプティブ管理代表者(Hawaii Administrative Rules designed Representative)として登録される。

キャプティブ・マネジメント会社は、キャプティブの会計、資金移動の手配、決算、保険引受、年次株主総会・取締役会開催、キャプティブ運営に携わるその他の現地サービス・プロバイダー(監査・税務担当会計事務所、保険数理人等)の推薦等に関わる業務を行なう。

キャプティブ保険会社の運営・管理に関わる専門的な業務を担当するため、キャプティブに関わる専門性や豊富な経験を有することはもとより、日本語でわかりやすくきめ細かく日本のオーナーに報告・説明できる日本語サービス体制の有無も重要である。

②現地法律事務所
現地の法律事務所は、キャプティブ設立手続を開始する前に日本のオーナーとの間で法務事項の代理人契約を締結し、キャプティブ設立手続および設立後のキャプティブ経営に関わる現地での法律行為を行なう。

ハワイ州においては、当局に代理人(Hawaii Registered Agent)として登録される。オーナーとともにキャプティブ設立発起人(Incorporator)の役割を果たし、その後は、当局への届出、キャプティブ設立後のキャプティブ内の決議等、現地の法律行為を担当する。

また、年次株主総会・取締役会の運営でも主要な役割を果たす。法律事務所を選定するにあたっては、キャプティブ法制に詳しいことが前提になるが、やはり、日本語サービス体制の有無が重要である。

③保険数理人、監査・税務担当会計事務所、銀行
キャプティブは、保険会社であるため、保険数理士(アクチュアリー)が監査資料として提出が義務付けられている保険数理報告書を作成する。

IBNR(既発生未報告損害)備金の計算をおこない報告するとともに、財務諸表に記載されているIBNR備金が適切な保険数理的手法で計算されたことを証明する。税務担当会計事務所は、確定申告書の作成、税務処理、法人税予測等を行なう。監査担当会計事務所は、監査業務、監査報告書の作成等を行うが、ハワイ州においては当局の任用許可を受ける必要がある。

会計事務所の任用にあたっては、キャプティブ分野の専門性が高いことが重要である。取引銀行の選定では、キャプティブ保険会社を積極的に受入れ、日本語サービス体制が整っていることが重要である。

3.保険会社等

①元受保険会社
キャプティブにとっては、元受保険会社は日本のオーナーとの元受保険契約に基づき再保険を出再する「被再保険者」である。元受保険会社とは、再保険契約の締結、再保険料の収受、再保険金支払等の所定の事務手続を行なうが、折衝等は日本のオーナーが行なう。

②再保険ブローカー、再々保険会社
再々保険の手配は、通常、日本のオーナーが再保険ブローカーに依頼して行なう。キャプティブは、再保険ブローカーとの間で、再々保険会社との再々保険契約の締結、再々保険料の支払、再々保険金の収受等の事務手続を行なうが、折衝等は日本のオーナーが行なう。

今回のまとめ

キャプティブ設立手続は、ドミサイルで、キャプティブ・マネジメント会社、現地法律事務所を中心に、3ヶ月程度をかけて行なうが、特に、キャプティブ・マネジメント会社は、設立時においても、膨大な設立申請書類の作成、保険監督当局への打診等中心的な役割を担うため、キャプティブ設立・運営に関わる高い専門性・経験、当局や現地サービス・プロバイダーとの太いネットワーク、そして、日本企業のビジネスへの深い理解ときめ細かな日本語サービス体制が欠かせない。